2004 Fiscal Year Annual Research Report
養殖二枚貝の健康評価・活力測定の基準となる血球機能の探究
Project/Area Number |
15580156
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 計介 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80240662)
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Keywords | マガイ / 血球 / 貪食能 / 健康評価 / 活力診断 / 生体防御 / 血リンパ / 酵素 |
Research Abstract |
本研究では「健康評価・活力診断の指標」とするマガキの細胞および液性成分には生体防御機構の中心的な実働細胞である血球と血リンパを選んだ。 (1)生理活性の測定に基づくマガキ血球の生体機能・標準値(適用範囲)の決定 ここでは、指標となるマガキ血球の防御能の標準値を定めることを目的とした。水温などの環境条件の変動や生殖周期によって防御能の強さは変動することが考えられたので、女川湾を対象海域に定め、同じ垂下場所・同一年齢のマガキを毎月1回採集し、血球の遊走能・貪食能・活性酸素産生能を測定した。その結果、遊走能と貪食能では水温の影響が制限要因の1つであるとともに、成熟の進行と放卵・放精に伴う活性の変動が見られた。すなわち、季節や成熟の度合いを考慮して防御能の標準値を定める必要があり、モデルとした女川湾での動態は概ね把握できた。この値がマガキ特有のものであるか、ひいてはマガキの標準値として適用しても良いかについては、2つの考え方で検証した。すなわち、1つは同じ場所に垂下した近縁種で放卵・放精時期も重なるイワガキについても毎月1回採集し、マガキと同じ項目について測定した。その結果、マガキとイワガキでは血球の貪食能や遊走能は異なる動態を示した。つまり、マガキはマガキとしての種の特徴を示していると考えられた。もう1つは、由来の同じマガキ個体群を2つに分けて別々の場所に垂下し、同じ時期に採集して血球機能の測定を行った。その結果、女川湾より南方の松島湾に垂下されたマガキの血球は明らかに反応が異なっていた。 (2)簡易・迅速測定手法確立のための適正条件の検討 ここでは、「簡易定量キットを応用した血球および血リンパの19種類の酵素活性の測定」と「有効塩素能測定に基づく血球ペルオキシダーゼ活性の測定」の確立を目的とした。実験条件を変えて有効性を検討した結果、血リンパ上清では13種類の酵素が、血球では14種類の酵素が検出された。血球のみに活性が見られる酵素が2種類あり、血リンパと分離しなくてもその変動を明らかにできた。ペルオキシダーゼも簡便に測定できた。
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Research Products
(3 results)