2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580162
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小池 隆 三重大学, 生物資源学部, 教授 (60093126)
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Keywords | イセエビ / イシガニ / 行動実験 / 光感閾値 / 光の波長組成 / 光の向き / 方向感覚 / 時空感覚 |
Research Abstract |
大型甲殻類のイセエビとイシガニを供試動物として、方向感覚と時空感覚を明かにするために、光の向き、光の波長組成、光の強さを変えた照射光に対するそれら動物の感知能力について行動実験を行った。あわせて外洋と内湾の海中の光環境を本学練習船勢水丸で観測した。使用した装置は、直径3mの円形水槽と指向性の強い白熱灯投光器および放射状に配置した巣穴、中心波長463nmと499nmおよび622nmの高輝度発光ダイオード点光源、青色と赤色の巣穴およびそれらと同一輝度に調整した灰色の巣穴、中心波長521nmと590nmの高輝度発光ダイオード30個からなる投光器8×2個、循環濾過水槽付き100リットル水槽3×3個などである。その結果、イセエビが感知し得る下方向照度の下限値は2.3×10^<-5>1x付近でありイシガニのそれは5.7x10^<-3>1x付近と種により光感閾値は著しく異なることがわかった。イセエビの巣穴選択は巣穴外側における光の強さや光の向きよりむしろ巣穴内側の鉛直面照度を優先し、外から中をのぞき見て中が暗い巣であった。この場合には巣穴入口外側の下方向照度が高く直接光が巣穴正面より射し込む状態でも頭を直接光に向けて入巣した。間接光では巣の位置による巣穴選択の偏りは消失した。イセエビが感知出来る光の強さの下限値は波長463nmで1.91×10^<-6>W/m^2、499nmで1.41×10^<-10>W/m^2、622nmで3.87×10^<-3>W/m^2であった。イセエビは499nmの光に対する感度が最も高かった。外洋の熊野灘と伊勢湾内で海中へ透過した光の波長分布を比較すると、外洋で最もよく透過する光の波長は490nmであり内湾では波長565nmであった。
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Research Products
(2 results)