2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒラメレンサ球菌症における免疫防御メカニズムの解明
Project/Area Number |
15580166
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金井 欣也 長崎大学, 水産学部, 助教授 (40145222)
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Keywords | ヒラメ / レンサ球菌症 / Streptococcus iniae / 免疫防御 / ワクチン / マクロファージ活性化因子 |
Research Abstract |
従来の研究から、レンサ球菌症の原因菌Streptococcus iniaeのホルマリン死菌をヒラメに接種すると、本症に対する免疫が形成される。また、免疫したヒラメをS.iniaeで攻撃すると血清中にマクロファージ活性化因子が出現することが分かっている。 本年度は免疫魚を攻撃した際に血清に現れるマクロファージ活性化因子の精製を試みた。免疫魚を攻撃後2日目に採取した血清を陰イオン交換クロマトグラフィーで分画した後、活性化因子を含むフラクションをゲルろ過クロマトグラフィーに供した。以前の研究結果では活性化因子を含むゲルろ過の第1ピークに凝集抗体活性も検出されていた。今回の研究では、活性化因子を含む第1ピークと凝集抗体のフラクションがわずかにずれていることが分かり、第1ピークの抗体を含むフラクションとそれ以外のフラクションについてそれぞれプールして生体防御能活性化作用を調べたところ、抗体以外のフラクションの方に活性化作用が認められた。したがって活性化因子が抗体以外の血清成分であると推測された。また、活性化が認められたフラクションで3時間前処理したS.iniaeをヒラメに接種したところ、腎臓の生菌数が減少した。このことから、本因子が菌体表面に吸着することによってS.iniaeが体内で殺菌されると推測された。 免疫防御における特異抗体の意義を明らかにするため、アフィニティーカラムを使って特異抗体の精製を試みた。マウスの抗ヒラメ抗体モノクロナール抗体産生ハイブリドーマ培養上清からIgGを精製し、NHS-セファロースにカップリングさせヒラメ抗体用のアフィニティーカラムの作製を試みたが、カップリング効率が悪く使用できなかった。また、プロテインGカラムによる精製も試みたが、特異抗体の回収率は低かった。そこで来年度もアフィニティーカラムの調製を検討し、特異抗体の精製を行う予定である。
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