Research Abstract |
200m以上の水深を持つ鹿児島湾の海底は,「トントコ網」と呼ばれる小型底引き網の漁場となっているが,そこに堆積するゴミの現状については十分把握されていない。本研究では,まずウイングパラカイトを装着した簡易式底引き網(LCネット)による海底堆積ゴミの調査の可能性について検討し,その後,鹿児島湾における海底堆積ゴミの組成および分布に関する調査を実施した。 [方法]鹿児島湾の湾奥部2点,中央部4点,湾口部1点の計7定点(水深70m〜227m)において,2003年5月から毎月一回,底曳網調査を行った。調査に用いた底曳網は,左右の袖網前端に1m^2のパラカイトを装着した全長23.5m,設計網口幅8m,目合(身網)37.9mm,(袋網)20.2mmのLCネット(ニチモウ(株)製,LC-VI型)で,鹿児島大学水産学部附属練習船南星丸(175t)により各定点において2.0ktで20分間曳網した。入網物は,船上で生物と生物以外の入網物(以下,ゴミと称す)に分け,ゴミ全てを研究室に持ち帰り乾燥させた後,自然物(軽石,流木,葉等)と人工物(プラスチック類,ガラス類等)に分類し,最大長と個数を記録した。 [結果]2003年5月から10月までの6ヶ月間に計30回の底曳網調査を行った。総面積2.96×10^<-1>km^2を曳網し、12,504個の白然物と1,128個の人工物を回収した。1回の曳網で採集された自然物は0個から2,051個,人工物は3個から527個と定点間による数量のばらつきが大きかった。自然物のうち最も多かったものは葉であり,破片を含めると7,479枚,続いて石の2,630個となった.人工物ではプラスチック類と金属類がそれぞれ44.8%,43.9%を占めた。プラスチック類の中では,フィルム状破片が最も多く45.7%を占め,金属類では腐食した金属の破片が97.0%を占めた.曳網面積より生物以外の入網物の堆積密度を算出すると,自然物で42×10^4個/km^2,人工物で3.8×10^3個/km^2となった。
|