2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホタテガイ貝殻に含まれる生理活性物質の同定とその有効利用
Project/Area Number |
15580176
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 靖 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (80261387)
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Keywords | ホタテガイ / 水産系廃棄物 / 貝殻 / 脂肪分解 / 皮膚細胞増殖因子 |
Research Abstract |
ホタテガイ貝殻は年間約30万トンにも及ぶ量が水産系廃棄物として処理されておりその有効利用が強く望まれている。貝殻の一部は、脱硫剤、精製カルシウムの原料などとして再利用されているもののなお大部分が廃棄処理され大きな問題となっている。貝殻の新規有効利用法の開発を目指し、私達は貝殻中に含まれる有機成分が有する生理活性作用の探索を行ってきた。その結果、いくつかの有用な生理活性成分が含まれていることを見出した。本申請研究では、皮膚角化細胞および脂肪細胞に及ぼす効果をラットを用いたin vivo研究によって明らかにするとともに、その生理活性物質の単離、同定を行った。 (1)紫外線照射によってラット皮膚上に作製した紅斑、かさぶた形成の治癒速度を、貝殻より抽出した有機成分を塗布した群、コントロール群で比較、検討したところ貝殻抽出成分を塗布した群において創傷治癒速度が有意に亢進されることを明らかにした。さらにラット皮膚上に作製したしわ形成にたいする抑制効果を検討したところ、貝殻抽出成分を塗布した領域においてしわ形成が有意に抑制されることを明らかにした。これらの結果は、貝殻抽出成分中に含まれる、活性酸素消去活性、皮膚角化細胞増殖促進活性というin vitroでの結果に一致する結果であった。 (2)また貝殻抽出成分をラットに食餌させることによって体重の有意な減少、特に体重あたりの白色脂肪組織重量を有意に減少させるとともに、血中のグリセロール量を増加させていることを明らかにした。このin vivo結果は貝殻抽出成分中に脂肪分解促進因子が含まれていることを示唆しており、in vitroでの結果と一致している。さらに、この脂肪分解促進因子について単離、精製を行い分子量約1万の糖タンパク質を単離した。この成分の構造についてさらに検討を進めている。貝殻中に含まれる脂肪分解因子は脂肪細胞に対し作用し、β酸化に関わる酵素の発現を有意に増加させていることから、脂肪分解がその結果として促進されているものと考えられた。作用機構の詳細に関し、単離した成分を用いてさらなる検討を加えている。
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Research Products
(3 results)