2003 Fiscal Year Annual Research Report
魚類におけるアスタキサンチンのスーパー・モレキュール活性発現機構の解析
Project/Area Number |
15580177
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 俊樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10217797)
|
Keywords | アスタキサンチン / 魚類 / 培養細胞 / 組織培養 / ニジマス |
Research Abstract |
(1)アスタキサンチン(ASX)の機能評価法の検討:魚類の個体を用いる実験に先立ち、in vitroでASXの機能評価を行うための系の開発について検討した。肝細胞を利用した初代培養系は、生体内の状況を良く反映しレスポンスが早いという点では優れていたが、調製する際にかん流が必要なこと、培養時に血球細胞といった非肝細胞の混入が多いことなどの問題が認められた。一方、線維芽様細胞の樹立細胞株は扱いが容易で増殖が早かったが、生体内の状況を十分反映しているとはいえず、個体レベルでのデータとの比較が難しいものと推察された。さらに筋肉より筋肉由来初代培養細胞の調製に成功したが、このものは増殖が著しく遅く、また利用する個体により細胞の収率が異なるという問題が認められた。そこで細胞ではなく組織そのものを直接用いる方法について検討した。ニジマスを麻酔後、普通筋肉ならびに肝臓を無菌的に摘出しさらに滅菌、洗浄後、ウシ胎児血清を添加した培養液中で培養した。なお初代培養系では酸素を必要とするため、閉鎖系ではなく開放系にてCO_2インキュベーターを用い湿度を十分に保ち培養した結果、数日間は組織の崩壊を認めることなく維持が可能であった。 (2)細胞に対するASXの吸収法の検討:脂溶性物質であるASXを細胞(組織)に取り込ませる方法について検討した。ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノールおよびテトラヒドロフラン(THF)を溶解用の溶媒として用いたところ、特にDMSOは細胞毒性が高く適当ではなかった。またエタノールに対するASXの溶解度は低く問題があった。一方THFはASXを良く溶かし、また終濃度に注意すれば細胞へのダメージも少ないことが明らかとなった。 今後はASXを取り込ませた細胞におけるASXの含量を調べるとともに、その細胞を用いてASXの影響を検討する必要があると考えられる。
|
Research Products
(1 results)