2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580182
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
横山 芳博 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (90291814)
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Keywords | マガキ / 輸送 / ストレス応答 / 低酸素 / ストレスタンパク質 / HSP70 |
Research Abstract |
マガキは水揚げ後の流通過程において、空気に暴露され、生きた丸貝として輸送、保存される。その間、数時間、ときには数週間低酸素状態に晒される。このような状態で長期間生存できる低酸素耐性能は、マガキが浅海に生息する固着性二枚貝であり、潮汐により空気中に露出するなど、低酸素状態にしばしば置かれることから遺伝的に獲得してきたものであろう。しかし、この低酸素耐性機構の詳細はほとんどわかっていない。本研究では、マガキの流通過程を想定し、空気中保存による低酸素状態の進行に伴って増減を示すタンパク質を検出・同定してマガキの低酸素耐性機構の一端を明らかにすること、さらに、それらのタンパク質の発現をマガキのストレス程度判定指標に応用することを目的としている。本年度は空気中保存に伴い増減するタンパク質の検出、ならびにこれまでに報告者がクローニングした一連のストレスタンパク質に関してそのmRNAのストレスに伴う発現を検討した。 福井県小浜湾産活マガキ(Crassostrea gigas)を水揚げ後、4℃、20℃それぞれの空気中で保蔵し、低酸素ストレスを与えた。開殻後、閉殻筋、体幹部、鰓、外套膜を切り取り、PBS(4% TritonX-100、プロテアーゼインヒビターカクテルを含む)中でホモジナイズした。遠心分離して得た上清にトリクロロ酢酸を加えタンパク質を沈殿させた。これをIPG(Immobilized pH gradient)ゲル膨潤溶液(8M尿素、2%CHAPS、0.5%IPG Buffer)に溶解したものを二次元電気泳動に供した。また、ストレスタンパク質HSP70ファミリーmRNAの発現をノーザンブロット分析により検討した。 ストレスを与えたマガキの体幹部、鰓においていくつかの増減を示すタンパク質スポットを確認した。体幹部では、20℃で3日保蔵の個体および4℃で10日保蔵の個体において、44.6kDa・5.0pIのスポットの消失および、44.6kDa・5.13pIのスポットの出現が確認された。鰓では、4℃で1-5日保蔵および20℃で2日保蔵の個体において34.5kDa・6.5pIのスポットの出現が確認された。また、HSP70ファミリーmRNAは空気中保存により発現量が増加することが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Yokoyama, H.Hashimoto, H.Toyohara, Y.Ogura, S.Mizuta, R.Yoshinaka: "cDNA cloning and characterization of GRP78/BiP in Japanese oyster Crassostrea gigas"Proceeding of 5th JSP S-DGHE International Seminar on Marine Products Processing Technology TUF International JSPS Project. 14. 261-266 (2003)
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[Publications] Y.Yokoyama, Y.Ogura, H.Hashimoto, H.Toyohara, S.Mizuta, R.Yoshinaka: "cDNA cloning and characterization of HSP70 family in Japanese oyster"Proceeding of 8th International Symposium on Efficient Application and Preservation of Marine Biological Resources. 93-100 (2003)