2004 Fiscal Year Annual Research Report
海綿の興奮性アミノ酸ダイシハーベインが局在する細胞の起源と機能の生化学的解析
Project/Area Number |
15580183
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
酒井 隆一 北里大学, 水産学部, 助教授 (20265721)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神保 充 北里大学, 水産学部, 講師 (10291650)
小池 一彦 北里大学, 水産学部, 講師 (30265722)
|
Keywords | 海綿 / 興奮性アミノ酸 / ダイシハーベイン / 組織免疫染色 / グルタミン酸受容体 |
Research Abstract |
ダイシハーベイン(DH)はミクロネシア連邦ヤップ州産海綿Dysidea herbaceaより得られる興奮性アミノ酸で、既存のアミノ酸には無い特異な構造を持つことから、機能・構造の両面で注目されている。これまでの研究で、DHは海綿内の間充織に存在する直径10μm程度の球状細胞に存在することがわかっている。本研究ではこの球状細胞の機能と起源を多面的に比較・解析した。 形態観察:電子顕微鏡、蛍光顕微鏡観察の結果、球状細胞は光合成補助色素フィコエリトリンを含み、3重の細胞壁を持つこと、また核やオルガネラは存在しないことを明らかにした。これらの形態的特徴は藍藻と類似するものであるが、藍藻類に発達するチラコイド膜構造も観察されなかった。またこの細胞のDAPI染色を行ったところ、核の染色は認められなかったものの、分裂途中にある細胞においてのみ蛍光の局在が観察された。この様なきわめて特異な性状を持つ細胞が、本種はもとより海綿の共生生物として報告された例は無い。 分子生物学的解析:次に、海綿より球状細胞および共生藍藻Oscillatoria spongeliaeを分離し、それらの細胞を直接鋳型としてリボゾームDNAのPCR解析を行った。その結果、球状細胞のrDNA配列はホストの海綿と類縁のD.avaraより報告されているものと類似するものであった。一方、共生藍藻のrDNAは既報のO.spongeliaeのものとよく一致した。これらの結果は、ダイシハーベインの産生・貯蔵に深く関わっていると考えられるこの細胞は、藍藻と海綿の特徴を具有している可能性を示すものである
|
Research Products
(3 results)