2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580186
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
樋口 昭則 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (40250534)
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Keywords | 環境負荷 / 窒素負荷 / 経営計画 / 線形計画法 / 酪農経営 / 畑作経営 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度作成した窒素を環境負荷要因として評価できる経営計画モデルを用いて、その原因者である酪農経営や畑作経営と環境政策との関係について分析した。農業に投入された窒素成分の多くは酸化して硝酸態窒素となり、水に溶けて地下水や河川水を汚染し、それを飲用することによってブルーベビーなど人間に害を及ぼす。わが国では、水田は水質浄化機能があるとされ、畑作と畜産で窒素流出の程度が高いといわれている。そこで、酪農経営と畑作経営の経営内に投入される窒素量と経営外に産出される窒素量を求め、その差を窒素による環境負荷量と設定して、その負荷量を把握する経営計画モデルを線形計画法の単体表として作成した。 このモデルを用いて十勝地域の畑作経営と酪農経営の窒素負荷量を求めたところ、購入飼料の多い酪農経営の1ha当たり窒素負荷量は畑作経営の3倍程度であった。畑作経営の窒素負荷量は、硝酸体窒素汚染が問題となっているオランダの基準よりも低いことが分かった。さらに、窒素負荷量を小さくしようとする一つの方法として、肉牛飼養により堆肥を自給し、購入堆肥をやめることが指摘された。また、酪農経営については、経営面積を拡大することにより1ha当たり窒素負荷量を低減し、収益も向上できること。EUで行われている面積当たり頭数制限を実施すると、1ha当たり窒素負荷量は減少するが、収益も減少すること。副産物である堆肥を経営外の畑作経営などに自由に供給できるようにすると、都府県の酪農経営と同様に購入飼料を中心とした多頭飼養に変わり、1ha当たり窒素負荷量は極端に増加すること。これらの検討は、作成した経営計画モデルの一部を変更することにより、容易に求まることから、リンなど窒素以外の水質汚染物質についても、今回作成した線形計画法のモデルの適用が有効であると考えられる。 なおこれらの詳細は、2005年度日本農業経済学会で、樋口昭則・三宅俊輔・澤岻直哉「環境負荷を考慮した経営計画モデルの作成-窒素負荷を対象として-」として報告している。
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Research Products
(1 results)