2004 Fiscal Year Annual Research Report
果実内部品質評価技術の発達に対応した柑橘産地のマーケティング戦略の解明
Project/Area Number |
15580193
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
徳田 博美 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20346000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 正昭 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80144228)
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Keywords | 光センサー / 糖度選別 / 樹園地管理システム / 規格別価格 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き光センサーを導入している柑橘産地の農協の実態調査を行うとともに、その中の1農協における温州ミカンの規格別価格の分析から、糖度選別と価格形成との関係を分析した。また小売店バイヤーへの聞き取り調査も行った。その結果は以下の通りである。 1.光センサーの活用では、販売面とともに生産面へのフードバックも期待されている。いくつかの農協においては、選果データのデータベース化が進められており、生産者へのフードバックの仕組みも作られている。しかし、実際に生産に活かしていくという点では十分な効果はなく、今後の課題となっている。 2.糖度で選別されても、それが通常の規格に反映されていない場合がある。規格そのものは外観などで選別され、一つの規格の中で規格によって2つのグループに分けられており、出荷市場によって糖度の高いものと低いものが選択され、出荷されている。つまり、糖度選別は、分荷戦略にのみ利用されている。 3.糖度選別を行っている1農協での規格別価格の分析から、(1)糖度選別を行うと、糖度による価格差が形成されるが、同時に階級(大きさ)による価格差も拡大している。そのため、糖度が高ければ高価格が実現できるとは単純には言うことができず、糖度のみでなく、大きさなども併せた総合的な品質がより重要となっている。(2)糖度による価格差は、出荷する果実全体の価格水準が低下する出荷後期により大きくなり、糖度選別の効果として出荷後期での価格低下抑制の効果が大きいこと等が明らかになった。 4.高級果専店バイヤーの聴き取り調査で近年、産地ブランドが崩壊しつつあり、優等産地でもその年の果実の味が劣れば扱わなくなっており、品質の重要性が高まっている。この点で光センサー活用の可能性が広がっている。
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Research Products
(1 results)