2004 Fiscal Year Annual Research Report
地方経済の自立と地方における公共投資のあり方に関する研究
Project/Area Number |
15580202
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University of Kitami |
Principal Investigator |
阿部 秀明 北海学園北見大学, 商学部, 教授 (60183141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 昭男 北海学園北見大学, 商学部, 教授 (00271213)
田辺 隆司 北海学園北見大学, 商学部, 教授 (90360065)
佐藤 博樹 北海学園北見大学, 商学部, 助教授 (20261084)
廣瀬 牧人 沖縄国際大学, 商経学部, 教授 (20279417)
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Keywords | 公共投資(社会資本整備) / 地方経済の自立 / 域際収支バランス / 経済効果・経済効率 / マクロ計量経済モデル / シミュレーション分析 / 政策評価 / 持続的地域発展 |
Research Abstract |
近年、地方経済自立の方策・戦略が緊急課題となっているが、特に地方に位置する北海道は、都府県のような開発が行われて日が浅く都市機能の集積やインフラ整備の乏しい地域であり、また、経済的にも首都圏などの大消費地から遠く離れ、輸入超過のため域際収支の赤字が国債によって賄われているのが現状である。本研究では、こうした地方に位置する北海道・沖縄の社会経済の構造的特徴を加味しながら、地方における物的政策手段としての産業基盤整備、生活基盤整備等の公共支出が如何なる経済効果をもたらしたか、全国との比較を通じてその効果を評価・検証するものである。その結果、次の点が明らかとなった。府県と比較して相対的に低い北海道・沖縄県の成長率と生産要因。低い資本収益率の下での低賃金。その低い成長率を開発予算の投下で埋められていること。これら地方経済の低成長要因を公共投資で底上げしても依然として変わらぬ産業構造等々、こうした一連の経済的要因が域際収支の赤字となる資金循環に繋がり、地域経済の自立を遅らせる要因となっている実態が計量分析より明らかとなった。したがって、今後の地方経済の自立に向けては、受益と負担のメカニズムがさらに鮮明になり、公共投資の大幅削減がさらに加速すると思われることから、地方経済は一層自立に向けた取り組みが必要になる。自立のために必要な視点は、「まちづくり」,「ものづくり」,「ひとづくり」であるが、とりわけ地域の発展戦略の立案・実施を担う「ひとづくり」のための人的資本への投資が重要である。これには地域との連携や地域の固有性を視野に入れ、自主的に再活性化することが必要である。特に小規模地方自治体の地域経済発展は、地域における歴史的文化的要素に根ざした新たな固有施策を地域経済発展のブレーク・スルー施策として創造し、都市改造を中心とした地域空間構造の再構築と連動させる戦略が有効である。以上、本研究は公共投資への傾斜的財政政策を地域の自立と両立する形で如何に転換するかを検討する際の有益な判断材料を提供できたものと考える。
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Research Products
(7 results)