2003 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素放出量の把握に基づく熱帯泥炭地の最適開発・管理法の確立
Project/Area Number |
15580209
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
石田 朋靖 宇都宮大学, 農学部, 教授 (00159740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 弘二 宇都宮大学, 農学部, 助手 (40261820)
後藤 章 宇都宮大学, 農学部, 教授 (80162139)
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Keywords | 熱帯泥炭 / 分解速度 / 水管理 / pH / 地温 |
Research Abstract |
本年度は,熱帯泥炭のCO_2放出量に対して水管理操作が及ぼす影響を予測するモデルを確立するための第一段階として,現地で泥炭試料を採取するとともに、開発後の農家における経営分析用の基礎資料を取得した。さらに、泥炭試料を用いた室内実験で、温度,土壌水分,pHの変化が熱帯泥炭のCO_2放出速度(分解速度)に及ぼす影響を定量的に明らかにした。その結果は以下に要約される. 1)熱帯泥炭の含水比が270%以下の場合では,含水比が低下するにつれて分解速度が低下する傾向が見られ,水分が少ない場合ほど微生物活性が低下することに起因するものと考えられた.一方,含水比が270%以上では,分解速度はほぼ一定値を示し,270%以上での含水比の増加は微生物活性に殆ど影響しないことが推定された. 2)水分不足,酸素供給不足が律速因子とならない場合の分解速度(ポテンシャル分解速度)は,クローズド・チャンバー法,オープン・チャンバー法でほぼ同一の値が測定されたため,測定方法によってポテンシャル分解速度の測定結果に大きな相違が生じないことが確認された. 3)熱帯泥炭のpHが4.1〜4.7,及び5.8〜7.0に増加する際,ポテンシャル分解速度の急激な増加が見られ,これらの範囲内のいずれかのpHを境に急激に泥炭土内の微生物活性が高まるためと考えられた.また,pHが増加する場合,分解速度の温度感受性は低下することが明らかとなった。 4)試料の充填土層厚を変化させた場合の単位表面積当たりのCO_2放出速度は,土層厚5cmまでは土層厚の増加と共に増加したが,5cm以上の土層厚では一定値をとる傾向にあった.また,土層厚5cm以上で一定値となったCO_2放出速度は試料を採取した地点のCO_2放出速度とほぼ同程度の値を示しており,土層厚を5cm程度とすることで現地とほぼ同様のCO_2放出速度を室内カラム実験において再現できると考えられた.
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