2004 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素放出量の把握に基づく熱帯泥炭地の最適開発・管理法の確立
Project/Area Number |
15580209
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
石田 朋靖 宇都宮大学, 農学部, 教授 (00159740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 章 宇都宮大学, 農学部, 教授 (80162139)
加藤 弘二 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (40261820)
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Keywords | 熱帯泥炭 / 水管理 / 二酸化炭素放出 |
Research Abstract |
本研究では、(1)まず室内実験と現地調査に基づき、農地開発による環境要因の変化に伴う熱帯泥炭地の二酸化炭素放出予測モデルを構築し、泥炭の分解と二酸化炭素放出に及ぼす影響を定量的に明らかにし、(2)確立されたモデルを、タイ国の熱帯泥炭地帯に適用し、開発に伴う水管理や土壌改良などを考慮した複数の開発・管理シナリオを設定して、泥炭土壌消失と二酸化炭素放出のシミュレーションを行い(3)こうしたシミュレーション結果に環境経済評価を加えて、熱帯泥炭地の最適な開発・管理法を明らかにする。という3点を目的とし、以下の点を明らかにした。 1)飽和泥炭試料の充填土層厚を変化させた場合の単位表面積当たりのCO_2放出速度は,土層厚5cmまでは土層厚の増加と共に増加したが,5cm以上の土層厚では一定値をとる傾向にあった.このうち、好気分解は表面の1cm程度までであり、それよりも深い土層は嫌気分解によることが実験的に明らかになった。 2)湛水深や土層深さによる好気呼吸の変化は、実測されたポテンシャル分解速度と酸素拡散モデルにより表されることが分かった。このモデルは、現地における不飽和土層での好気分解速度もうまく表すことができたが、飽和土層中の嫌気分解速度については表現することができなかった。 3)開発したモデル、現地実測データ等から水管理の違いによるCO_2放出速度を見積もったところ、湛水深を増しても下限値は1.3tC/ha/yrであり、一方、非湛水飽和状態で2.2tC/ha/yr、不飽和層を増やすと上限値は20tC/ha/yrであり、この範囲で変化することが分かった。 4)また、現地での実測データを使い、対象地の泥炭深さの空間分布と潜在的CO2排出量を明らかにした。 5)ただし、対象地の政情が不安定となり、農家経済に関する十分な現地調査が行い得なかったため、第3の目的は達成できなかった。
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Research Products
(1 results)