2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580225
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
加藤 治 佐賀大学, 農学部, 教授 (40038295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬口 昌洋 佐賀大学, 農学部, 教授 (20093974)
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Keywords | 貧酸素水塊 / 負圧 / 接近流速 / 揚水管 |
Research Abstract |
有明海は閉鎖性が強いため、河川郡から流入した栄養塩は長時間にわたり滞留する。この間に、夏期には高水温となって海水が成層化し、底層が停滞する。この底層に堆積した有機物の分解に大量の酸素が消費される結果、底層水が貧酸素あるいは無酸素状態となる。有明海は干満差が大きく湾奥部では、大潮時には表層で1.0m/s前後の流速に達する。しかし底層ではほとんど流れはないものと考えられる。本研究では、本年は、負圧を利用した海水交換の解析を室内実験と現地観測を用いて実施した。その方法は、揚水管を用いて、下層の停滞水塊を上層に揚水して海水交換を促す方法である。負圧による揚水原理が十分確立していないため実験で検証した。まず実験室において、内径20mmと31mmの2種類の揚水用パイプを用いる。パイプ上端部に流れ(接近流速)を与えることにより、下層の停滞部の水を揚水する(パイプ内の流速:揚水流速)。実験の結果、接近流速の増加につれて揚水流速は指数関数的に増加する。パイプの内径による変化は、内径が大きくなると揚水流速の増加率が若干大きくなる。たとえば、接近流速がそれぞれ20cm/s、45cm/sの場合揚水流速は7.0cm/s、26cm/sを得る。次に、現地での測定を実施した。諫早湾口北部に農水省が設置している観測タワーを用いて実施した。揚水管として、直径60cm、長さ5mの土木用暗渠排水管を用いた。管中央部に電磁流速計を設置するとともに、パイプの上端と下端の位置にそれぞれ流速計を設置し、接近流速と下層部の流れの測定が出来るようにした。調査期間は平成16年1月10日〜1月30日である。その結果、上端の接近流速の最大値は38.2cm/sで揚水流速の最大値は5.3cm/sであった。今回の実験では、波浪の影響が大きく、現在詳細な分析を行っている。次回には夏期に実験を行い、底層におけるDOの測定を併せて実施する予定である。
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