Research Abstract |
本年度は,自律芝刈りロボットを人手を介さずに作業を開始終了させるための装置として,自動シャッターと充電ステーションへの自動ホーミング機能を備えたガレージからなる,自律チャージステーションを1基作成した.ステーションは未来大学内敷地へ設置した.また,自律芝刈りロボット上にはチャージステーション誘導のためのシステムを実装した.これらを用い,まず障害物回避機能,目標地点への自動到達機能について改善し,自動シャッター充電ガレージへのアプローチ等の基本動作確認を行った.次に,動的協調作業に向けたマルチロボットの自律分散協調システムの研究開発を行い,以下の成果を得た.(1)マルチエージェントによる作業戦略の柔軟性を実現する方法として,任意のロボットの初期配置から,各ロボットが自己の作業領域をボロノイダイアグラムにより局所的に生成し,非同期に領域再割当を行い,対象領域全体の作業を遂行する協調方式を考案した.評価のため,Open Agent Architectureエージェントプラットフォームを用いたシミュレータを作成し,ロボットの個別プラン生成と協調プラン生成に関するスキーマの設計とその評価を行った.この方式によりロボット間で頻繁な通信による情報共有を行わずとも,またロボットが故障を起こしても,芝刈タスクを遂行できるという非集中制御,そしてロバスト性を実現した.(2)GISベースの協調作業モニタ,および通信による作業分担実現のための準備として,ロボット間通信用アドホックネットワークプロトコルを開発した.アドホックネットワーク上に,OpenSOAPを用いたプロトコルにより,XML形式のデータ交換を実装した.SOAPを用いることにより,ロボットの制御情報の交換,データベース化,障害物のスナップショットの保存,タスク遂行のためのプランニング情報の共有・変更,分散処理といった様々なデータ内容の通信を柔軟に実行できるものとなった.(3)多様な状況に対する柔軟性を発現させる手段として,ロボットが窪み等でスタックした場合の脱出動作を強化学習を用いて学習する手法を開発した.具体的には,脱出に成功した場合の行動の系列を,センサ系列と共に記憶し,その結果を解析して,より効率的な系列を自動発見させ,同様な状況で再生できるような学習を設計した.実機への適用の前段階として,キャスタ部分を含めた詳細なシミュレータを作成し,特に長い系列を学習できるよう工夫した強化学習を用いて学習アルゴリズムを実装した結果,シミュレーション上でさまざまなスタックの状況を仮想的に起こさせた場合においても,良好な学習性能を得ることができた.
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