Research Abstract |
本研究は,安価で簡単な機構の自律ロボットを複数台協調動作させることで,屋外での広い領域の作業を,効率よく信頼性が高く,かつコストを抑えて実現するような,ハードウエアとソフトウエア技術について開発するもので,作業タスクとして屋外芝刈りタスクを対象としている.この研究の成果としては,まず自律ロボットの基本的な機能である,人手を介さずに作業を開始終了させるための装置の開発を行い,初年度においては,自動シャッターと充電ステーションへの自動ホーミング機能を備えたガレージからなる,自律チャージステーションを2基作成した.これらは屋外の敷地へ設置され,自律芝刈りロボット上に実装した誘導のためのシステムにより,自動帰還と自動充電を実現する技術を開発できた.次に,作業の動的な分割に向けたマルチロボットの自律分散協調システムの研究開発を行い,任意のロボットの配置から,動的に各ロボットが互いに作業領域を割り当てしあう手法を考案した.Open Agent Architectureエージェントプラットフォームを用いたシミュレータにより設計と評価を行い,ロボット間で頻繁な通信による情報共有を行うことなく,バランスの取れた芝刈タスクを遂行できるという非集中制御,ロバスト性を実現できることを確認した.また,GISベースの協調作業モニタ,および通信による作業分担実現のための通信プロトコルとして,アドホックネットワークによるプロトコルを開発実装した.これにより,ロボットの制御情報の交換,現在のロボットの位置のデータベース化,障害物のスナップショットの保存,タスク遂行のためのプランニング情報の共有・変更,分散処理といった,多様なデータ内容を通信するための標準プロトコルとして有効なことを確認した.簡単な機構のロボットを前提とすることから,作業中に多くのロボットがスタックなどの移動障害を頻繁に起こす可能性がある.このため,作業負荷分散によるロス解消に加えて,スタック状態などの異常状態からの自立的な高速復帰が技術として必要なことを明らかにし,強化学習手法を用いて,脱出の成功失敗経験を利用して,脱出を自動的に効率よく行わせるような技術を開発した.
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