2004 Fiscal Year Annual Research Report
家禽における内分泌撹乱化学物質に対する感受性とバイオアッセイ法の確立
Project/Area Number |
15580232
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉山 稔恵 新潟大学, 農学部, 助手 (10272858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠原 征治 新潟大学, 農学部, 教授 (80018788)
西村 宏一 独立行政法人農業技術研究機構, 畜産草地研究所, 主任研究員
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Keywords | ニワトリ / ウズラ / 内分泌撹乱化学物質 / 感受性 / バイオアッセイ系 / 骨髄骨 / ダイオキシン受容体 / DDE |
Research Abstract |
本研究では、家禽における内分泌撹乱化学物質に対する感受性を明らかにするとともに、内分泌撹乱化学物質のバイオアッセイ系の確立を目的として以下の実験結果が得られた。 1.日齢に伴うダイオキシン受容体の発現 孵化後から30日間隔の390日齢にいたるまでのニワトリ雌の筋胃、卵管、肝臓、肺、腎臓、心臓および大腿骨骨髄よりでRNAを調整し、RT-PCRを用いて日齢に伴うダイオキシン受容体の発現を検討した。その結果、筋胃、肝臓、肺、腎臓および心臓においては全日齢を通じてダイオキシン受容体の発現が確認された。しかしながら、卵管および骨髄では孵化直後ではダイオキシン受容体の発現は観察されず、30-90日齢でも他の組織と比較すると低い傾向を示した。とりわけ、骨髄でその傾向が強く観察された。これらのことは、ニワトリ雌においては組織によっては日齢に伴ってダイオキシンに対する感受性が変化していることが示唆された。 2.内分泌撹乱化学物質バイオアッセイ系の検討 成熟オスに内分泌撹乱化学物質であるプラスチック可塑剤のビスフェノールA(BPA)、殺虫剤のDDT代謝産物であるDDEを7日間浅胸筋に投与した結果、DDE10mg投与において大腿骨骨髄腔内に網状に発達した骨髄骨の発現が観察された。一方、DDE5mg、DDE1mg、DDE0.2mgおよび対照(溶媒のみ)では骨髄骨の発現は観察されなかった。しかしながら、DDE5mg投与では骨内膜細胞の一部が肥大しており、前骨芽細胞に分化していた。また、BPA10mg投与では、骨内膜細胞の肥大化がみられ、一部では骨髄骨の形成が観察された。これらのことから、骨髄骨の形成は内分泌撹乱化学物質に強い感受性を示し、DDEはエストロジェン様作用を示すことが明らかとなった。また、骨髄骨形成のモニタリングが内分泌撹乱化学物質の指標となりえることが示唆された。
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Research Products
(2 results)