2003 Fiscal Year Annual Research Report
牧草糖含量の変動に対応した高品質サイレージ調製技術の確立
Project/Area Number |
15580238
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
増子 孝義 東京農業大学, 生物産業科学部, 教授 (50123063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔡 義民 畜産草地研究所, 家畜生産部, 室長(研究職) (80355114)
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Keywords | 糖含量 / WSC / 単糖類 / 二糖類 / チモシー / 近赤外分光法 / 生育時期 / 刈り取り時間 |
Research Abstract |
平成15年度は、申請書に記載した研究実施計画通り、1)材料牧草の糖含量における変動要因の解析、2)材料牧草の糖構成成分における変動要因の解析、3)近赤外分析法による牧草糖含量の測定について実験を行った。それぞれの研究成果は以下の通りである。 1)北海道根室支庁管内7地域の酪農家29戸の牧草地と北海道立根釧農業試験場の試験圃場からチモシー1、2、3番草を採取した。糖含量におよぼす変動要因として、(1)地域、生育時期、(3)施肥量、(4)刈り取り時間、(5)細切後放置時間、(6)品種の6要因を取り上げた。1番草では(1)〜(6)すべて、2番草では(1)と(6)のみ、3番草では(6)のみの設定とした。糖含量は乾物中で現した。地域:1番草では地域によってかなりばらつきがあり、中春別の3.2%が最も低く、別海の5.9%が最も高く、平均4.9%であった。2番草を1番草と比較すると、標津は1.6%増加し、別海は1.5%減少したが、平均5.2%となり、1番草の平均値と差がなかった。生育時期:根釧地域で刈り取り適期とされる6月30日を中心に、その前後の時期(6月20日、7月10日)を比較した。6月20日よりも6月30日と7月10日が高く、6月30日との間には有意差が認められた。施肥量:窒素量とカリ量を変えたが、差は少なかった。刈り取り時間:7時が最も低く、17時間まで経過するにつれて増加した。7時と17時の差は3.0%もあった。細切後放置時間:細切後6時間が経過しても減少しなかった。品種:1番草では極早生種クンプウと早生種ノサップが高かったが、2番草では早生種ノサップと晩生種ホクシュウが高かった。3番草の極早生種は1番草と2番草よりも高かった。 2)糖構成成分は1番草では(1)地域、(2)生育時期、(4)刈り取り時間、(6)品種、2番草では(1)と(6)、3番草では(6)のみを取り上げた。地域:糖構成成分は単糖類のグルコース(G)とフルクトース(F)含量が大部分を占め、二糖類のスクロース(S)含量はわずかであった。生育時期:生育時期が変わってもG、F、S含量に変動が少なかった。刈り取り時間:時間が経過するとGとF含量が増加したが、17時には減少した。品種:どの品種もSは検出されず、GとF含量が主要成分であった。2番草の(1)と(6)、3番草の(6)も1番草と同様の傾向であった。 3)近赤外分析法による測定については、160点程度のチモシー試料から決定係数0.94の比較的精度の高い検量線を作成した。今後、さらに試料点数を追加して精度を高めるとともに、この検量線の精度を未知試料により検定(プリディクション)していく予定である。
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