2003 Fiscal Year Annual Research Report
ルーメン細菌における亜硝酸環元酵素合成の調節機構の解明とその制御
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15580240
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
日野 常男 明治大学, 農学部, 教授 (50012050)
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Keywords | ルーメン / 硝酸・亜硝酸還元 / Selenomonas ruminantium / ペット動物 / 亜硝酸還元酵素 |
Research Abstract |
1.硝酸・亜硝酸還元能をもつSelenomonas ruminantiumのルーメン内存在数、およびその増殖を左右する要因 ルーメン内のSelenomonas ruminantiumの総菌数のうち、硝酸・亜硝酸還元能をもつ株の菌数は10%程度であった。硝酸含量の違う飼料を2週間給与しても、硝酸・亜硝酸還元能をもつ菌株の割合はあまり変化しなかった。しかし、硝酸含量の高い飼料を12週間給与した場合には、硝酸・亜硝酸還元能をもつ菌株の割合が増加した。また、S.ruminantiumが硝酸・亜硝酸還元を行うためには、H_2と乳酸の供給が重要であった。デンプン培地では、デンプン分解菌との共培養によりS.ruminantiumによる硝酸還元が促進され、亜硝酸の蓄積量が増加した。一方、セルロース培地では、繊維分解菌との共培養によりS.ruminantiumの増殖が促進され、亜硝酸還元速度が増加した。従って、ルーメン内における亜硝酸の蓄積を抑制するためには、繊維消化を増強することが重要と考えられた。 2.亜硝酸還元活性の高い菌の検索 イヌの糞便から、亜硝酸還元能の最も高いルーメン菌(Wollinella succinogenes)よりも能力の高い菌を分離したところ、本菌はClostridium属の菌と推定された。硝酸含量の高い餌を給与しても、本菌をルーメンに導入すれば亜硝酸の蓄積が減り、発酵や繊維消化の抑制を招かずにメタン生成が抑制され得ることを示唆する結果が得られた。また、本菌の亜硝酸還元酵素の特性は、亜硝酸還元ルーメン菌の酵素とは種々の点で異なっており、ルーメン菌に亜硝酸還元酵素遺伝子を導入する場合には、本菌の遺伝子は好都合と思われた。現在、その遺伝子をルーメン菌に導入し、発現させるための条件を検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] N.Asanuma, M.Kawato, S.Ohkawara, T.Hino: "Characterization and transcription of the genes encoding enzymes involved in Butyrate Production in Buryrivibrio fibrisolvens."Curr.Microbiol.. 47. 203-207 (2003)
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[Publications] 吉井貴宏, 浅沼成人, 日野常男: "ネコの腸内細菌相に及ぼす亜硝酸の影響、およびその糞便からの亜硝酸間還元菌の単離"ペット栄養学会誌. 6. 121-130 (2003)
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[Publications] T.Yoshii, N.Asanuma, T.Hino: "Number of nitrate- and nitrite-reducing Selenomonas ruminantium in the rumen, and possible factors affecting its growth."Anim.Sci.J.. 74. 483-491 (2003)
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[Publications] 浅沼成人, 吉井貴宏, 日野常男: "亜硝酸還元能の高い新規な菌の単離とその導入によるルーメン内における亜硝酸還元の増強"明治大学農学部研究報告. 137. 1-17 (2003)
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[Publications] 吉井貴宏, 浅沼成人, 日野常男: "ネコの糞からの硝酸, 亜硝酸還元能を有するStreptococcus bovisの単離とその評価"ペット栄養学会誌. 7. 15-23 (2004)
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[Publications] N.Asanuma, T.Yoshii, T.Hino: "Molecular characteristics and transcription of the gene encoding a multifunctional alcohol dehydrogenase in relation to the deactivation of pyruvate formate-lyase in the ruminal bacterium Streptococcus bovis."Arch.Microbiol.. 181. 122-128 (2004)