2004 Fiscal Year Annual Research Report
脱共役蛋白質による代謝調節機構の解析と病態生理学的意義
Project/Area Number |
15580252
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
木村 和弘 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (30192561)
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Keywords | UCP / AMPキナーゼ / ATP / 脱共役蛋白質 / ドミナントネガティブ |
Research Abstract |
脱共役タンパク質(UCP)はミトコンドリア内膜に局在し、ミトコンドリア内膜と外膜間に形成されたプロトン勾配とATP合成を脱共役させ細胞のエネルギーレベルを調節すると考えられる。しかしその活性変化が原因となってどのような細胞機能に影響を及ぼすかついては不明な点が多い。そこでUCP1遺伝子ノックアウト(KO)マウスと野生型(WT)マウスを用いて細胞へのエネルギー基質(糖)の取り込みとその機構について調べた。マウスにインスリンを投与するといずれのマウスも褐色脂肪組織(BAT)における糖(2-DG)取り込みが亢進した。一方、ノルエピネフリン(NE)を投与するとWTマウスのBATでは2-DG取り込みが亢進したが、KOマウスでは変化しなかった。NE刺激によりWTマウスではBAT組織内のAMP/ATP比が上昇し、AMP-activated protein kinase (AMPK)の活性およびそのリン酸化レベルが亢進した。しかしながら、KOマウスではAMP/ATP比、AMPK活性やリン酸化は変化しなかった。つまりBATにおいてはNEがβ3アドレナリン受容体を介してUCP1を活性化し、ATP産生を低下させることでAMPK活性を増大させ、糖の取り込みを促進すると考えられた。 またこれらの結果からUCPの活性化は細胞の糖利用(解糖活性)を増大させると考えられ、脂肪肝などの病的状態でのUCPアイソフォームの発現増大は病態の進行と密接な関係があると考えられるのでさらに検討を進めたい。
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Research Products
(1 results)