2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15580255
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠矢 幸伸 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20180119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 雅美 共立製薬株式会社, 臨床微生物研究所, 所長(研究職)
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Keywords | イヌ / ネコ / パルボウイルス / 宿主城 / 進化 / 変異 / モノクローナル抗体 / 病原性 |
Research Abstract |
本研究計画ではイヌやネコなどの食肉類動物を宿主とするパルボウイルスの進化(変異)を明らかにするとともに、新しい宿主動物へ感染・増殖する能力を獲得する機構を解明することを目的とする。具体的には研究代表者らがベトナムでヤマネコ並びにイエネコから分離したパルボウイルスを主に用いて、以下の項目を追求することにより行われる。1)ベトナム株の全塩基配列の決定による変異部位の同定。2)感染性DNAのクローン化と部位特異的変異導入ウイルスとキメラウイルスの作製およびin vitro宿主域の解析。3)モノクローナル抗体(mAb)による抗原性の解析。4)in vivoにおける増殖性と病原性の解析。 本年度は新抗原型であるベトナム由来V203株の非構造蛋白遺伝子の解析とV203株に対するmAbの作出を行い、以下の成績を得た。 1)V203株に加えベトナムネコ由来の抗原型CPV-2b分離株とイヌ由来日本分離株の非構造蛋白遺伝子の塩基配列を決定したところ、日本株と比較してベトナムのネコ由来株は全て545番目のアミノ酸にGlu→Valの置換を有していた。本置換はパルボウイルスの由来地域あるいは由来動物に特有のものである可能性が推察された。 2)V203株に対して新たに4つのmAbを作出した。全てのmAbは赤血球凝集阻止活性および中和活性を有していた。各抗原型ウイルス株に対する反応性により、これらのmAbは、全ての抗原型を認識するもの、抗原型2bおよび2cと反応するもの、並びに抗原型2bに特異的なものの3種類に分類された。さらにmAbに抵抗性の変異ウイルスを用いた解析では、2つのmAbはパルボウイルスの抗原部位Aを、残りの2つは抗原部位Bまたはその近傍を認識することが示唆された。以上の解析から、作出したmAbは新抗原型を含むパルボウイルスを検出、型別する際に有用であると考えられた。
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Research Products
(1 results)