2004 Fiscal Year Annual Research Report
病原性レトロウイルス感染補助因子としての内在性ウイルスの役割
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15580258
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
宮沢 孝幸 国立大学法人帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (80282705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 耕一 国立大学法人東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
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Keywords | Tリンパ球 / ネコ白血病ウイルス / 内在性レトロウイルス / FeLIX / 野生動物 / ネコ科動物 / 免疫不全 / ネコ |
Research Abstract |
人を含む動物のゲノム内にはレトロウイルスと類似した構造を持つ遺伝子が組み込まれており、宿主の遺伝子として安定な形で継代されている。これを内在性レトロウイルスというが、この配列は、全ゲノムの7%ほどを占めている。本研究では、内在性レトロウイルスが病原性レトロウイルスの感染補助因子として、生体に不利に働く機構を解明する。 本年度は以下の研究成果を得た。Tリンパ球指向性ネコ白血病ウイルス(FeLV-T)のエンベロープを被ったシュードタイプウイルス産生細胞から、定法に従って調整したシュードタイプウイルスを用いたアッセイにより、FeLV-Tの感染補助因子(FeLIX)がネコ科動物の血清中に存在するかどうかを調べた。家ネコでは、調べたすべての個体でFeLIX活性が認められた。FeLIXを産生するネコTリンパ球である3201細胞の培養上清中のFeLIX活性を1ユニットとしたとき、血清中には約20ユニット以上ものFeLIXが産生されていることが判明した。ほとんどのネコ科動物は内在性FeLVがゲノム中に存在することが知られているので、さまざまなネコ科動物を含む動物由来血清中にFeLIX活性があるかどうかを調べた。スマトラトラ、アムールトラ、ライオン、ヒョウ、ユキヒョウ、ウンピョウ、オオヤマネコ、ベンガルヤマネコ、ウシ、ヤギ、ブタ、ウマ、イヌを調べたところ、いずれの動物にもFeLIX活性は見られなかった。これらの結果から、ネコ科動物は内在性FeLV遺伝子をもっているにもかかわらず、家ネコ以外はFeLIXが血液中に存在しないことが示唆された。したがって高病原性のFeLV-Tウイルスは、家ネコ以外のネコ科動物に感染しない可能性が考えられた。今後、対象ネコ科動物を広げるとともに、ネコ科動物の培養細胞でFeLIXが発現されているかどうかを調べる予定である。
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Research Products
(6 results)