2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞・周細胞相互陥入部を介した血管新生制御機構の三次元電顕免疫学的研究
Project/Area Number |
15580267
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
和久井 信 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (40201157)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 周細胞 / 相互陥入部 / 三次元電顕免疫学 / 血管新生 |
Research Abstract |
【目的】血管内皮細胞・周細胞相互陥入部Endothelial cell and pericyte interdigitation (EPI)は血管新生初期に比較にして血管新生成熟期に有意にその数が増加することを本研究者はラット実験肉芽組織モデルを用いて三次元電顕免疫学的に証明した。さらに、EPIでは血管新生因子の受容体は周細胞側に発現すること、さらに内皮細胞の増殖阻害因子が発現することを三次元電顕免疫学的に証明した。この結果から、EPIが血管新生制御機構に於いて新生血管の増加よりも、新生血管数の選択的維持に関与することを示唆した。そこで、EPIの増減と関与する遺伝子を検討するために、ラット実験肉芽組織モデルを対象としてAtlas cDNA Expression Array解析を行い、同定された一部の遺伝子の発現をReal Time RT-PCR法で解析した。 【方法】8週齢雌SDラットの背部皮下にマトリーゲルを無菌的に埋め込んだ。その後、経日的に実験肉芽組織を摘出し形態学的検討を行った。さらに、実験肉芽組織からpoly (A+)RNAを抽出しAtlas cDNA Expression Arrayを作成しmRNAの発現の推移を網羅的に検討した。 【結果・考察】実験肉芽組織内に認められる新生毛細血管数は経日的に増加し7日目で最高値を示し、その後10日目で減少を示した。これら毛細血管の直径は7日目まで有意に小さい値を示し、その後10日目で増大を示した。マイクロアレイ解析では、Agiopoietin 1,Angiopoietin2,及び、両リガンドの受容体であるTie-2の発現について解析した。本検討では、血管新生数の最大を示す7日目にAgiopoietin 1 mRNA<Angiopoietin2 mRNAが認めれたのに対して、EPIの最大値を示す10日目ではAgiopoietin 1 mRNA>Angiopoietin2 mRNAが認められた。またTie-2 mRNAの発現は7-10日目に認められ、7日目の方が高い傾向を示した。本検討からEPIの形成にAgiopoietin 1,Tie-2系の発現が関与することが強く示唆された。Agiopoietin 1は蛋白生成が極めて困難なことから、安定した抗体が得られていない、そこで、現在、Agiopoietin 1ホモログ由来抗体を用いてAgiopoietin 1とEPIの形態学的関連性について三次元電顕免疫学的検討を行っている。
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Research Products
(1 results)