2003 Fiscal Year Annual Research Report
免疫担当細胞におけるBone Morphogenetic Proteinの機能
Project/Area Number |
15580269
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小川 健司 独立行政法人理化学研究所, 細胞生化学研究室, 先任研究員 (50251418)
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Keywords | BMP / リンパ球 / マクロファージ |
Research Abstract |
Bone Morphogenetic Proteins(BMP)は、骨形成を誘導する物質として発見されたTGF-β familyに属する分化誘導因子である。我々は、BMPの骨形成以外の機能に着目して、その免疫担当細胞における発現と機能を検討している。本研究では、マウス免疫担当細胞におけるBMPの発現について検討した。 先ず、マウス牌臓から単離したBリンパ球、CD4^+Tリンパ球およびCD8^+Tリンパ球、ならびに腹腔内マクロファージにおけるBMPs(BMP-2,BMP-4,BMP-7)の発現をRT-PCRによって検討した。本研究に用いた免疫担当細胞は、いずれもBMP-4の発現は認められなかった。一方、全ての免疫担当細胞においてBMP-2の発現が認められた。この結果は、免疫担当細胞における主要なBMPは、他の細胞系列とは異なり、BMP-2である事を示している。またBMP-7の発現は、CD4^+Tリンパ球およびCD8^+Tリンパ球において認められたが、Bリンパ球やマクロファージには認められなかった。BMP-7は、Tリンパ球に特異的なBMPであると考えられる。本研究に用いた免疫担当細胞は、いずれもBMPのI型およびII型レセプターのmRNAを発現しており、従ってBMPは免疫機能に何らかの重要な働きをする可能性が示唆された。 次に、CD4^+Tリンパ球のBMP-2およびBMP-7発現の変化を検討したところ、CD4^+Tリンパ球の活性化に伴って、BMP-2およびBMP-7の発現が増加している事が示された。 以上の結果から、CD4^+Tリンパ球は活性化に伴ってBMP-2およびBMP-7を産生し、これらの分子はparacrineまたはautocrineによってTリンパ球を含む免疫担当細胞に働くサイトカインである可能性が示唆された。
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