2003 Fiscal Year Annual Research Report
ほ乳マウスの小腸における実験的異常プリオン(PrPsc)の吸収伝達機序
Project/Area Number |
15580278
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
谷山 弘行 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (90133800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 康和 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (50254701)
萩原 克郎 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (50295896)
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Keywords | 異常プリオン / BSE / スクレイピー / ほ乳マウス / 小腸 / 吸収上皮 / 経口 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
BSEやヒツジスクレイピー等のプリオン病の伝達経路の解明を目的として,実験的に異常プリオンの経口投与による伝達試験を行なった.BSEおよびヒツジスクレイピー等も異常プリオンの経口摂取による伝達が疑われているが,具体的な異常プリオンの侵入門戸は確定されていない.特に新生子期の消化管内における異常プリオンの吸収機序は明確にされていない.新生子期の異常プリオンの吸収機序を明らかにするために以下の実験を計画した. 新生子(1日齢)にヒツジスクレイピーの脳乳剤を経口摂取し,1時間後のヒツジ脳組織の消化管内局在と異常プリオンの局在を検索した.異常プリオンの検索は抗プリオン抗体を用いて免疫組織化学的に行なった.ヒツジスクレイピーの脳乳剤と正常ヒツジの脳乳剤を別々の新生ほ乳マウスに与え,1時間後に検索した結果,ヒツジスクレイピーの脳乳剤を与えた群では,脳組織は胃・小腸上位の管内に達しており,抗プリオン抗体に対する陽性所見はヒツジの脳組織内と小腸吸収上皮内に認められた.また,抗ニューロフィラメントおよびGFAP抗体にも吸収上皮は陽性所見を示しており,ヒツジ脳組織の一部が,マウスの小腸吸収上皮から取り込まれる可能性が示唆された.一方,正常ヒツジの脳組織摂取マウスでは抗プリオン抗体の陽性所見は得られず,抗ニューロフィラメントおよびGFAP抗体のみが吸収上皮に陽性所見を示していた.これらの所見は新生子期における異常プリオンの腸内取り込みが,これまで示唆されてきたM細胞のみ成らず,吸収上皮からも行なわれている可能性があることを示唆している.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Okamoto, H.Furuoka, M.Horiuchi, T.Noguchi, K.Hagiwara, Y.Muramatsu, K.Tomonaga, M.Tsuji, C.Ishihara, K.Ikuta, H.Taniyama: "Experimental transmission of abnormal prion protein (PrPsc) in the small intestinal epithelial cells of neonatal mice"Veterinary Pathology. 40. 723-727 (2003)