2004 Fiscal Year Annual Research Report
犬ジステンパー脳炎による脳の器質的病変のMRIによる解析
Project/Area Number |
15580287
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 悟 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60282703)
|
Keywords | MRI / 犬ジステンパーウイルス / 脳炎 / 犬 |
Research Abstract |
前年度と同様に,中枢神経系の疾患を疑い精査のために本学附属家畜病院に来院し,MRI検査を行った症例の中から犬ジステンパー脳炎の可能性のある症例について検討を行った。 臨床症状,血清および脳脊髄液中の抗体価,抗原の検査結果からCDV感染と診断し,剖検が行えた4ヶ月齢以下の症例4例中2例において脳組織中にジステンパー抗体陽性細胞が確認されたが,これらの症例のMRIにおいて炎症像は認められなかった。前年度の研究により慢性例の犬ジステンパー脳炎では,明確な炎症像が得られない症例が少なくなかったが,急性例においてもMRIにおいて炎症像を示す症例は少ないと考えられた。 一方,犬ジステンパー脳炎と診断された症例のMRIボリュームデータからボリュームレンダリングソフトを用いて,脳室の形状,容積および周囲組織との関連性についての解析を行った。その結果,脳室拡大を示す症例が多く認められたが,脳室のラウンディング等の脳脊髄液圧上昇を示唆する所見は少なく,脳萎縮による脳室拡大の可能性が高いと考えられた。また,犬ジステンパー脳炎と診断し経時的に複数回のMRI検査を行った症例では,病態の進行に伴い脳室が拡大する傾向を認めた。以上の結果から,犬ジステンパー脳炎の症例ではMRI検査により炎症像を認める例は少ないものの感染による脳萎縮により脳室が拡大する可能性が考えられ,MRIにより犬ジステンパー脳炎を診断する一助になるものと考えられた。
|