2005 Fiscal Year Annual Research Report
動物の中枢神経系疾患における自己免疫応答の関与とその病理発生機構の解明
Project/Area Number |
15580289
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
内田 和幸 宮崎大学, 農学部, 助手 (10223554)
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Keywords | イヌ / 神経疾患 / 免疫介在性疾患 / 神経節・根炎 / 感覚神経症 |
Research Abstract |
平成17年度は、イヌの神経節・根炎(感覚神経症)を中心に検索が実施された。イヌの脊髄神経を傷害する免疫介在が疑われている疾患として、ヒトのギランバレー症候群との類似性が指摘されている特発性多発性神経根・節炎(アライグマ猟犬麻痺)と本疾患が知られている。後者ついては、国内でも散発的に症例が確認されており、末梢ミエリンに対する自己免疫応答がその病理発生に関与すると考えられている。一方、イヌの神経節根炎(感覚神経症)は、脊髄神経節、脊髄後根、および脊髄後索(感覚経路)に傷害が限局する点が多発性神経根・節炎と異なっている。本疾患については、海外で症例が確認されており、(1)遺伝的背景を有する変性性疾患、(2)T細胞が介在した自己免疫疾患、(3)その他何らかの代謝性疾患(中毒性疾患を含む)等、その病理発生については、不明な点が多く残されている。本症の存在は、これまで国内では確認されていなかったが、平成17年度には、本症の特徴的な臨床症状を発症し、病理学的に脊髄神経節、後根、および後索に限局した、ニューロンの脱落、脱髄、単核細胞浸潤、シュワン細胞や神経周皮細胞増殖を特徴とするイヌ症例が2例収集された。これらの症例の臨床・病理的特徴は、海外で報告されたイヌの神経節・根炎(感覚神経症)とほぼ一致していた。これらの症例については血清等も保存されており、病理検索と合わせ、血清中の自己抗体の有無についても検討した。正常イヌ脊願を抗原として蛍光抗体法により、自己抗体の有無について調査したが、2例ともに蛍光抗体法で検出可能な自己抗体は確認できなかった。また、病理学的に本疾患の病態の詳細を把握する目的で、2症例の脊髄病変部における浸潤細胞の表面マーカーやサブスタンスPの分布等について検討した。その結果、病変部に浸潤している単核細胞の多くは単球/マクロファージ系の細胞であり、T細胞やB細胞の比率は極めて低いことが判明した。過去に検索した特発性多発性神経根・節炎(アライグマ猟犬麻痺)では、T細胞の介在高いことが判明しており、今回の検索結果とは対照的であった。現在以上の検索結果についてとりまとめを行っている。
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Research Products
(1 results)