2003 Fiscal Year Annual Research Report
犬のBRCA1遺伝子多型ハプロタイプの遺伝子発現と発癌に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
15580292
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
多川 政弘 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 教授 (90097072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根津 欣典 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助手 (20350176)
土田 修一 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助教授 (20217326)
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Keywords | イヌ / 乳腺腫瘍 / BRCA1遺伝子 / 多型 |
Research Abstract |
乳腺腫瘍は犬で最も頻発する腫瘍の1つで、臨床上大きな問題となっている。本研究では犬の乳腺腫瘍に焦点を当て、犬の乳腺腫瘍発生における遺伝的背景を人の家族性乳がんに関連する遺伝子であるBRCA1に注目し、その遺伝子異常から検討しようとするものである。犬のBRCA1遺伝子のcDNA配列はすでに報告されているが、cDNA長ならびにゲノム構造が大きいため十分には解析が進んでいないのが現状である。そこで犬の乳腺腫瘍症例におけるBRCA1遺伝子の変異を観察するために2つのアプローチ法を検討した。1つはBRCA1に関連した多型の検出である。多型を検出することで犬のBRCA1遺伝子を分類し、乳腺腫瘍発生との関連を検討するものである。すでに犬のBRCA1遺伝子のイントロン15相当部位に多型を見出しているが、今回新たにイントロン2領域に多型を見出した。この多型はCTTTTを基本配列とした繰り返し数の差異で、さらに断片長の違いのみならず塩基置換の差異の存在もSSCP解析より示された。犬のBRCA1遺伝子の多型解析よりハプロタイプ解析の可能性が出てきた。もう1つのアプローチはゲノムDNAサンプルからのコード領域の塩基配列の変異を観察することを目的とした、犬のBRCA1遺伝子のゲノム構造の解析である。人のBRCA1遺伝子のゲノム構造を参考に犬のBRCA1遺伝子のエクソンーイントロン構造を推測し、PCR法を駆使してゲノム解析を進めている。この解析結果は犬の乳腺腫瘍発生における遺伝的背景を明らかにし、予防獣医学に貢献できるものと期待される。
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