2004 Fiscal Year Annual Research Report
資源循環型流域水環境管理を目的とした農地土壌系の窒素流出メカニズムの解明
Project/Area Number |
15580296
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
石川 雅也 山形大学, 農学部, 助教授 (30313068)
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Keywords | 畑地 / 窒素流出 / 硝酸態窒素 / 脱窒 |
Research Abstract |
一般に、汎用化水田を畑地利用する場合、暗渠を常時開放しておくので、多肥作物に吸収利用されなかった肥料由来の硝酸態窒素が著しく溶脱する。暗渠を閉じたとしても、硝酸態窒素が心土層を通じて地下水へ容易に溶脱する。そこで、現在、減肥あるいは輪作を行う等の施肥管理方法が模索されているが、いずれの方法にしても、農地1筆の作目は制限される。そこで、本研究では、本問題を解決するひとつの方法として、汎用化水田が遮水性の畦を有した構造体だけでなく、心土層の底面に畦と密着した不透水層を有した構造体として新たに整備されるとともに、この不透水層の存在と不透水層上部の心土層に配した暗渠の閉鎖により、畑地作土層からの浸透水を心土層に貯めることで還元層をつくり、この還元層での脱窒作用を利用し、溶脱された窒素の除去を行うことを考えた。 こうした圃場構造条件を満たすものとして、本研究では、土中埋設型野外ライシメータを選び、水質試験を行い、地下水位と土層内の窒素負荷量の変動から窒素除去の有無を明確にし、窒素減少量(窒素減少率)を算出した。なお、本研究のように、汎用化水田の転換畑利用時において、心土層に還元層を創出することによって窒素の系外流出の改善を試みた事例は存在しない。 試験区と対照区を設定し、試験区の心土層にだけ高濃度硝酸態窒素溶液を投入し、両区の暗渠水の水質と地下水位の変動を測定した。完熟堆肥・腐葉土・籾殻等、一般的な畑作で投与される量を施用するなど、両基とも同じ条件で試験を行った。 その結果、試験後の薬品由来による窒素減少率は92%と算出され、心土層に蓄積した硝酸態窒素について、高い数値で窒素除去が認められた。その除去の原因として、易分解性有機物が必要な脱窒菌の活性によって、脱窒作用が進行し、窒素負荷量とTOC負荷量の値が減少していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)