2005 Fiscal Year Annual Research Report
資源循環型流域水環境管理を目的とした農地土壌系の窒素流出メカニズムの解明
Project/Area Number |
15580296
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
石川 雅也 山形大学, 農学部, 助教授 (30313068)
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Keywords | 畑地 / 窒素流出 / 硝酸態窒素 / 脱窒 |
Research Abstract |
転換畑作土層からの溶脱窒素の除去を目的とした、土中埋設型野外ライシメータによる水質試験を行い、本試験データから、独立栄養型と従属栄養型の脱窒菌に着目し、化学反応式を用いて、それぞれの脱窒量の算出を試みた。 隣接するライシメータ(試験以前は長期間湛水状態)2基を使用し、試験区と対照区とした。試験区にだけ高濃度の硝酸態窒素溶液(硝酸カリウム、414.56kg・N/ha)を加えた。その他は両基とも同じ条件で試験を行った。試験期間は、2004年8月3日〜2005年11月15日の470日間であった。なお、試験期間中、両基とも無植生であり、表面流出はなかった。2004年8月3日〜同年9月8日に各層の暗渠から毎日定刻に採水を行い、同年9月8日〜2005年11月15日では、隔週1回定刻に採水した。全サンプル数は1,252本であった。 その結果、全試料で、T-N濃度≒NO_3-N濃度であり、対照区では各土層、0.193〜2.22mg/Lで推移した。試験区では、時間経過とともに土壌水中のT-N濃度が低下していく傾向が認められ、2005年7月19日以降は各土層で、0.482mg/L前後となり、対照区と同程度の値となった。 従属栄養型脱窒菌による脱窒量は12.6gとなり、硫黄酸化細菌のよる脱窒量が83.4g以上と算出された。これより、硫黄酸化細菌によって、薬品由来の硝酸態窒素の少なくとも62.1%が除去されたことが示唆された。また、2005年2月15日に暗渠の栓が抜けために流亡した量が0.533gであり、試験終了後の残存窒素量から試験開始前の残存窒素量を差し引いた量が0.180gであった。これらを合計して、薬品投入量である134.3gから差し引くと、37.59gとなった。この値については、土壌への負の吸着量を検討するとともに、硫黄酸化細菌による脱窒量の算出誤差の検証を行うことで明確にしたい。
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