2004 Fiscal Year Annual Research Report
センダイウイルス膜タンパク質の糖鎖機能と輸送機講の解析
Project/Area Number |
15580305
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
平 秀晴 岩手大学, 農学部, 教授 (70045756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 哲郎 岩手大学, 農学部, 助教授 (20202377)
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Keywords | センダイウイルス / 膜タンパク質 / 分子シャペロン / HNタンパク質 / N-結合型糖鎖 / 赤血球凝集活性 / シアリダーゼ活性 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
小胞体内で合成された分泌タンパク質や膜糖タンパク質のフォールディングと分解を制御する品質管理機構の過程には様々な小胞体分子シャペロンが関与し、細胞自身のタンパク質の折りたたみを介助・促進する。多くのウイルス膜タンパク質も感染細胞内でも、細胞質や小胞体内で分子シャペロンにより品質管理されて成熟したウイルス粒子が産生される。我々はセンダイウイルスの膜糖タンパク質Fusion(F)及びHemagglutinin-neuraminidase(HN)タンパク質が、細胞内輸送過程においてN-型糖鎖を介した小胞体分子シャペロンのカルネキシン・カルレティキュリンにより、質的に異なる品質管理を受けていること、Fタンパク質に結合している3ヶ所のN-型糖鎖の中でg2部位の糖鎖が細胞内輸送及び膜融合活性の制御に関与していること、さらにg1とg2の糖鎖がカルネキシン・カルレティキュリンと特異的に相互作用すること等を明らかにしてきた。両タンパク質のN-型糖鎖は多様な構造を持ち、その生理機能は全く不明であることから、小胞体内でのフォールディングと分解、両タンパク質のオリゴマー形成、ゴルジ体での糖鎖修飾と出芽過程におけるN-型糖鎖の機能を解明するためには、より詳細な分子細胞生物学の研究が必要である。 タイプII型のHNタンパク質には、4ヶ所のN-型糖鎖の付加部位(g1,g2,g3,g4)が存在し、g1は膜貫通領域近傍のstalk domainに、g2,g3,g4はglobular headに局在している。各種のN-型糖鎖の欠失あるいは単独付加変異体を作成し、HeLa細胞や細胞極性の明確な腎上皮細胞で発現させて、N-型糖鎖の影響を調べ、フォールディングや細胞内輸送にN-型糖鎖がどのように関与するかを解析した。4ヶ所のN-型糖鎖の付加部位のうちg1、g3,g4の3ヶ所に糖鎖が付加していること、特にg3とg4の糖鎖付加部位を欠失させると、細胞表面への発現とneuraminidase活性、赤血球凝集活性や膜融合促進活性が顕著に減少したことから、g3とg4の糖鎖は細胞内輸送とこれらの生物活性に重要であることが示唆された。 糖鎖付加部位変異体とHN1モノクローナル抗体及び小胞体分子シャペロンBip抗体との結合量を表面プラズモン共鳴によるBIACOREを用いて解析し、免疫沈降法に比べ短時間にリアルタイムで相互作用を解析することが可能であることがわかった。
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Research Products
(5 results)