2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590007
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 仁 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助教授 (70221728)
|
Keywords | パン酵母 / 速度論的光学分割 / 二環性[3.1.0]骨格 / グルタミン酸レセプター / シクロプロパン化 / 硫黄イリド |
Research Abstract |
二環性[3.1.0]骨格は、MSG0008に代表される選択的mGluR2アゴニストの基本骨格であり、統合失調症改善薬開発のための鍵となる分子骨格である。特に本系化合物を光学活性体として入手するための効率的な方法を開発することは重要な課題である。これまで、キラルカラムを用いたHPLCによりラセミ化合物の光学分割が行なわれてきた。しかしこの方法を大量スケールに適用することは困難であるため、簡便な不斉合成法の開発が求められている。 そこで、本研究では、ethyl 2-oxobicyclo[3.1.0]hexane-6-carboxylateのパン酵母による速度論的光学分割について検討した。 まず、ethyl bromoacetateとdimethyl sulfideから誘導される硫黄イリドを用いて、cyclopentenoneとのシクロプロパン化を行ない、ラセミ体のethyl 2-oxobicyclo[3.1.0]hexane-6-carboxylateを合成した。これに対してパン酵母を作用させると、速度論的光学分割が円滑に進行し、還元体の二級アルコールと未変化体のケトンがそれぞれ高い光学収率で得られた。光学収率の算出は、アルコール体を対応するベンゾエートに誘導し、HPLCを用いて行なった。さらにそれらの旋光度の符号から両者の絶対配置を決定し、本還元反応が一般的なPrelog則に従っていることを明らかとした。 以上、パン酵母による速度論的光学分割法を用いて、二環性[3.1.0]骨格の不斉構築を達成した。今後、これを用いて更なる応用へと展開する予定である。
|