2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590007
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 仁 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助教授 (70221728)
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Keywords | 不斉合成 / シクロプロパン化反応 / 硫黄イリド / 速度論的光学分割 / 共役エノン / キラル触媒 / パン酵母 |
Research Abstract |
光学活性の二環性[3.1.0]ヘキサン骨格はしばしば重要な生物活性を有する化合物中に見られる部分構造である。さらには、この骨格の特性を利用して、より複雑な構造を持つ有機化合物への化学変換も可能である。本年度の研究では、この骨格のより簡便な不斉合成法を提案し、昨年度までの結果とあわせてさらに幅広い応用を目指すためにいくつかの検討を加えた。また、本方法をより幅広い基質へと適用しる目的で、二環性[n.1.0]型化合物の不斉合成への展開を試みた。 1)ラセミ体[n.1.0]型化合物の合成とその速度論的光学分割 エチルブロモアセテートから誘導される硫黄イリドを用いて、種々の共役エノンとのシクロプロパン化反応を行なった。得られたラセミ体[n.1.0]システムに対する速度論的光学分割を検討した。ここでは、前年度の検討により良好な結果を与えたパン酵母を用いてその一般性について種々検討したが、良好な結果を与えることはなかった。これはパン酵母の基質特性が本系化合物には適さなかったものと考えられる。 2)[n.1.0]型化合物のエナンチオ選択的合成 光学活性二環性[n.1.0]型化合物はそれ自身がしばしば重要な化合物中に見られる骨格ではあるが、それだけではなく、多様な化学変換が可能な合成中間体としても有用である。プロリン誘導体をキラル触媒として用い、環状共役エノンに対する硫黄イリド誘導体の付加反応を行なえば、エナンチオ選択的シクロプロパン化反応が可能であると考えた。種々検討の結果、一部の基室については光学活性体の[n.1.0]型化合物が得られた。しかしながら、その光学純度は充分ではなく、今後のさらなる検討が必要であると考えられる。
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Research Products
(1 results)