2003 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性なナノメートルスケール超分子カプセルの構築と不斉認識及び不斉合成への展開
Project/Area Number |
15590008
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
青木 伸 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00222472)
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Keywords | 超分子 / サイクレン / 不斉 / 光学活性 / ナノメートルスケール / テトラペプチド |
Research Abstract |
複数の分子が、配位結合、水素結合など分子間相互作用により集合して生成し、一つ一つの分子を超えた化学的、物理的、生化学的性質をもつ化合物を、広い意味で超分子と呼ぶ。生体分子への適応や環境問題を考慮すれば、水溶液中における超分子化学が重要である。 亜鉛(II)-12員環テトラアミン([12]aneN_4またはサイクレン)錯体は中性水溶液中で種々のアニオン(X^-)と複合体を生成する。これまでに申請者は、三核亜鉛(II)錯体とトリチオシアヌル酸トリアニオン(TCA^<3->)の4対4自己集積(S^--Zn^<2+>配位結合に基づく)によって、中性pH水溶液中でナノメートルスケール(1nm=10^<-9>m)の超分子を構築することに成功した。 そこで本研究は不斉炭素を導入した多核金属錯体とポリアニオン(TCA^<3->など)との自己集積によって光学活性なナノメートルスケール超分子カプセルを構築し、水溶液中での不斉認識、不斉合成へ展開することを目的としている。 本研究が対象とする超分子は、亜鉛(II)錯体とアニオンユニットを水に溶かすだけで自動的に組み上がり、水溶液のpHで構造を制御できるシステムである。従って、各種物理化学的手法によって、溶液中における超分子自身と内部空間の特性、包接の分子機構、包接されたゲスト分子の物性の定量的な評価が可能である。水に溶けにくい薬物などを水に可溶化し、ターゲット細胞に送り込む薬物輸送カプセルとしても期待できる。 平成15年度は、光学活性なナノスケール超分子を設計、合成を行った。4分子のL-アラニンがペプチド結合で繋がったテトラペプチドを合成した。N末端のCbz基で、C末端をエチルエステルを脱保護し、分子内環化反応を試みたところ、その環状テトラアラニン体の収率は約5〜10%と低かった。現在、この環化反応の収率の向上と、アミド結合を還元して大環状テトラアミン体に導く条件を検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shin Aoki, Saori Kaido, Haruto Fujioka, Eiichi Kimura: "A New Zinc(II) Fluorophore 2-(9-Anthrylmethylamino)ethyl-Appended 1,4,7,10-Tetraaza-cyclododecane"Inorg.Chem.. 42・4. 1023-1030 (2003)
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[Publications] Eiichi Kimura, Shin Aoki, Emiko Kikuta, Tohru Koike: "A Macrocyclic Zinc(II) Fluorophore as a Detector of Apoptosis"Proc.Natl.Acad.Soc, USA.. 100・7. 3731-3736 (2003)
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[Publications] Shin Aoki, Eiichi Kimura: "Zinc-Nucleic Acid Interaction"Chem.Rev.. 104・2. 769-788 (2004)