2004 Fiscal Year Annual Research Report
フォールドマー触媒の設計・合成とその利用による不斉合成反応の開発
Project/Area Number |
15590011
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 正一 九州大学, 薬学研究院, 助教授 (00227175)
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Keywords | α、α-ジ置換アミノ酸 / ペプチド / コンフォメーション / ヘリックス / 不斉炭素 / アミノ酸 / 2次構造 |
Research Abstract |
コンフォメーション自由度の制限された光学活性環状α、α-ジ置換アミノ酸の不斉合成を酒石酸ジエステルを出発原料として検討した。その結果、この合成経路により収率面では問題があるものの、アミノ基、アジト基などの各種官能基を有する環状α、α-ジ置換アミノ酸誘導体を合成できることを明らかとした。また、ピペリジン骨格を有する6員環状ジ置換アミノ酸の合成を検討し、合成収率を向上することに成功した。さらに、このピペリジン骨格を有する6員環状ジ置換アミノ酸は、各種のL-アミノ酸エステル由来のアミンを用いることによりコンビナトリアル・ケミストリー的な応用も可能となることを明らかとした。 これらのα、α-ジ置換アミノ酸を導入したホモ並びにヘテロプペチドを合成し、その2次構造をH-NMR、CD、IR、X線結晶解析などにより解析した。その結果、ホモペプチドのヘリックスのらせんの方向性は、α位の不斉中心がなくても、側鎖上の不斉中心のみにて制御することができることを明らかとした。このことは、天然アミノ酸イソロイシン、スレオニンの側鎖上不斉中心もその含有プペチドの2次構造に影響を与えていることをはじめて明らかとしたことを意味している。また、このα-ヘリカルなペプチドは、水中においても安定なヘリックス構造を形成することを明らかとした。現時点ではペプチドの合成収率の問題から、残念ながらこれらのフォルドマーを用いた不斉合成反応への応用には成功していない。しかし、コンフォメーション解析の研究から、これらのプペチド-フォルドマーを用いれば短いプペチドでも安定なヘリックス構造を形成することを明らかとしたので、各種の不斉合成反応への不斉源として利用できる可能性を示すことができたといえる。
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Research Products
(6 results)