2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590019
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高畑 廣紀 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (00109109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 有香子 東北薬科大学, 薬学部, 助手 (30364409)
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Keywords | エステル化 / 縮合剤 / イソキノリン / アシル活性化体 / Boc化 / アミノ酸エステル / EEDQ |
Research Abstract |
カルボン酸のエステル化は有機化学において最も基本的な反応の一つであり,現在も新しい有用な縮合剤の開発が精力的におこなわれている。しかしながら,いまだ酸や塩基などの添加剤を必要とするものが大部分であり,また試薬由来の生成物との分離に困難なことに遭遇する場合がある。そこで,我々はより簡便で実用的な脱水縮合剤の開発を目指した。先に,我々はイソキノリンとBoc_2Oから容易に合成される1-tert-butoxy-2-tert butoxycarbony1-1,2-dihydroisoquinoline (BBDI)が,酸性プロトンをもつ官能基に対する特異的なBoc化剤であることを見いだしている。カルボン酸とBBDIの反応は高収率でBoc体を与える。今回,このBocがカルボン酸のアシル活性化体に成りうると考え,BBDIを新規縮合剤として利用する1工程でのカルボン酸のエステル化を検討した。カルボン酸としてN-保護アミノ酸を用いて,エステル化を検討した。N-Cbz-アミノ酸とBBDIをアルコール中で撹拌した.その結果,高収率でエステル体が得られた。本反応は従来のエステル化剤と異なり,塩基を必要とせず,1工程で反応が進行すること,さらに,後処理の分液操作で容易に試薬由来生成物を除去できるという利点がある。BBDIと類似の構造を持つ化合物として2-ethoxy-1-ethoxycarbony1-1,2-Dihydroquinoline (EEDQ)がある。このEEDQもBBDIと同様の機構でエステル化が進行するが,求核剤を過剰量用いる必要がある。EEDQは活性化体を形成する際にエタノールが遊離するため,求核剤であるアルコールと競争反応し,エチルエステル体が副生成するためである。BBDIはカルボン酸を活性化しているBoc基と副生成物であるt-ブタノールとの両方の嵩高さにより,t-ブチルエステル化は進行しにくいと考え,ほぼ当量のアルコールを用いてエステル化を行ったところ,分子内にヒドロキシ基を持つセリン,スレオニンを除いて,高収率で対応するアミノ酸エステル体が得られた。
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