2003 Fiscal Year Annual Research Report
本邦産高等植物を対象としたバイオプロスペクティング:抗菌抗かびシード物質の探索
Project/Area Number |
15590022
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
木下 武司 帝京大学, 薬学部, 助教授 (10107386)
|
Keywords | バイオプロスペクティング / 抗菌抗かび活性 / ハクウンボク / サポニン / jegoside / jegosaponin A |
Research Abstract |
1.高等植物試料の抗菌抗かび活性試験 これまでに調製した750の高等植物試料(メタノールエキス)について一次スクリーニングとしてグラム陽性菌Staphylococcus aureus、グラム陰性菌Escherichia coli、酵母菌Saccaromyces cerevisiae、かびAspergillus nigerの4種を用いてそれぞれの抗菌活性を評価した。グラム陰性菌に対して活性を示したサンプルはなかったが、グラム陽性菌の増殖抑制活性を示したものは118サンプルあり、これについては更に詳細な抗菌活性試験法を用いた二次スクリーニングで絞込みを行う予定である。一方、かびA.nigerに対して顕著な活性を示したものが5サンプルあり、今後、活性成分を単離するに十分な量の試料の採集を行うつもりである。また、酵母菌に対しては14サンプルに増殖抑制作用が見られた。このうち、抗菌比活性が比較的高く、試料の入手の容易なハクウンボクStyrax obassia果皮について活性成分の単離を行った。 2.ハクウンボク果皮の抗酵母菌作用成分の単離、精製 ハクウンボク果皮の50%エタノールエキスを抗酵母菌活性を指標としてHP-20にて分画、活性はメタノール溶出画分にのみ見られた。メタノール画分をODSカラムを用いて分離した結果、jegosideと命名した新規アシルサポニン1種と既知サポニンであるjegosaponin Aを得た。jegosideをアルカリ水解したのち酵素分解して得られたアグリコン部は既知トリテルペンR_1-barrigenolと一致した。Jegosideの糖鎖は^1H-NMR、^<13>C-NMRおよびC-H COSY、C-H HOHAHA、HMBCの2D-NMRを用いて決定した。抗酵母菌活性はS.cerevisiae、Candida albicans、Hansenula anomala、Pichia carsonii、Cryptococcus laurentiiほか数種の菌株を用いて評価した結果、jegosaponin AにMICが25μg-50μg/mLという顕著な活性が見られたが、jegosideのMICは200μg/mL以上であった。 3.南西諸島における抗菌抗かび活性試験用試料の採集 琉球大学熱帯生物圏研究センター西表実験所を拠点として植物試料の採集を行い、抽出部位の調製および植物種の同定のためのさく葉標本を作製した。 4.フィリピン国立博物館における採集植物の同定 これまでに採集した植物試料の標本の同定作業を海外共同研究者とともに行った。
|