2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590028
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
森 裕二 名城大学, 薬学部, 教授 (40121511)
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Keywords | ポリ環状エーテル / 合成 / 下痢性貝毒 / アドリアトキシン / オキシラニルアニオン / 神経毒 / ガンビエロール |
Research Abstract |
1.アドリアトキシンの合成研究 アドリアトキシンは、有毒渦鞭毛藻によって毒化したムール貝から単離された下痢性貝毒で、10環性ポリエーテル(ABCDEFGHIJ環)である。本年度の研究では、アドリアトキシンのHIJ環フラグメントのI環合成に有用なビニルラジカルの環化反応について検討した。独自に開発したオキシラニルアニオン合成戦略によってH環モデル化合物を合成し、プロパルギル側鎖およびアクリル酸側鎖を導入した数種の化合物について、三重結合から発生させたビニルラジカルの環化反応を行ったところ、プロパルギル位水酸基の立体配置および水酸基の保護基に関わり無く、高収率、高選択的にトランス縮合型の6-6二環性エーテルが得られることが判明した。本反応を応用してアドリアトキシンのHI環フラグメントの合成を達成した。 2.ガンビエロールの合成研究 ガンビエロールは,食中毒シガテラの原因である有毒渦鞭毛藻Gambierdiscus toxicusの培養藻体から単離構造決定された8環性のポリ環状エーテル神経毒である。マウスに対する最小致死毒性は50μg/kgで強い神経毒作用を有する。本研究では、神経毒ガンビエロールの合成研究を実施した。 ガンビエロールは6個の6員環エーテルと2個の7員環エーテルから構成されている8環性のポリ環状エーテルである。本年度の研究では、ガンビエロールの左半分に相当するABCDフラグメントの合成を検討した。最初にD環を合成し、これにエポキシスルホン由来のオキシラニルアニオンの反応、エーテル環形成反応、ヒドロキシ-ビニルエポキシドの6-エンド閉環反応、ジチアンとエポキシドのカップリング反応、ヒドロキシケトンの還元的エーテル化反応などを行って、D→C→B→A環の方向へ順に環を伸長させてABCD環フラグメントを合成することに成功した。
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Research Products
(2 results)