2003 Fiscal Year Annual Research Report
Naチャネルブロッカーのインスリンシグナリング抑制機構
Project/Area Number |
15590040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 義弘 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (90093236)
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Keywords | 局所麻酔剤 / リドカイン / オリゴペプチド / KIFMK / KIYEK / インスリン受容体 / リン酸化抑制 / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
1)局所麻酔剤リドカイン及び各種オリゴペプチド類によるインスリン受容体(IR)の自己リン酸化抑制作用の検討 Western blot解析の結果、IRはβサブユニットの存在を示す分子量95kDaの位置にバンドを示した。表記薬物の無添加状態のバンドの濃さを100%とした。リドカインは0.4mMでは70%、4mMでは60%、そして40mMでは20%以下まで、IRのリン酸化を抑制した。一方、LPFFDを除く全てのオリゴペプチドにおいて濃度依存的なIRのリン酸化抑制効果が見られた。特にKIFMKおよびKIYEKは、0.04mMではほとんど効果が見られないが、0.4mMでは60%、4mMでは20%以下にリン酸化を抑制した。KIFMKおよびKIYEKは最も顕著なリン酸化抑制効果を示した。その程度は、リドカインの10分の1の濃度でリドカインと同等のリン酸化抑制効果を示した。一方、DIYETおよびKIQMKには、KIFMKおよびKIYEK程のリン酸化抑制効果は見られず、0.4mMではほとんどリン酸化抑制効果を示さなかった。しかし、4mMでは、DIYETは20%、KIQMKは50%までIRの自己リン酸化を抑制した。コントロールペプチドとして用いたLPFFDは4mMでも、IRのリン酸化を全く抑制しなかった。 2)リドカイン及び各種オリゴペプチドによるリン酸化IRに対する脱リン酸化作用の検討 IRの自己リン酸化抑制実験で最も顕著な効果を示した40mMのリドカイン、あるいは4mMのオリゴペプチドを、あらかじめ10分間リン酸化させたIRに添加して、脱リン酸化作用を検討した。リドカインはIRを脱リン酸化し、添加後10分間でリン酸化の程度を35%にまで減少させた。KIYEKおよびDIYETはIRを脱リン酸化し、添加後10分間でIRのリン酸化を30%以下とした。一方、KIFMKは最も顕著なリン酸化抑制効果を示したにもかかわらず、脱リン酸化作用は全く示さなかった。またKIQMKおよびLPFFDも脱リン酸化作用を示さなかった。これらの結果から、IRに対する薬物の脱リン酸化作用にはリドカインの3級アミンあるいはオリゴペプチドのIYEモチーフが関与している事が示唆された。
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Research Products
(1 results)