2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞に発現するTRPファミリー分子の表現型と機能に関する研究
Project/Area Number |
15590059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 周司 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (60177516)
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Keywords | TRPチャネル / TRPM2 / 過酸化水素 / 活性酸素 / 神経細胞死 / カルシウム / ラジカルストレス / RNAi |
Research Abstract |
過酸化水素(H_2O_2)やヒドロキシラジカルなどの活性酸素種が神経細胞死を引き起こす過程には,種々のメカニズムが関与していると考えられる。種々の脳変性疾患時には,脳内で活性酸素種を除去する酵素活性が減弱しており,その結果生じるラジカルストレスが神経細胞の生存を増悪させていると考えられている。本研究計画の初年度は,ラット胎仔由来初代培養大脳皮質ニューロンに発現しているTRPファミリー遺伝子をRT-PCRと免疫染色によって検索し,それによって存在が認められたTRPMC3/4/5およびTRPM2/7の5種類のうち,特にH_2O_2によって開口することが報告されたTRPM2に焦点を当てて,ニューロンにおける発現と機能を,ことに細胞死に注目して検討した。 まず,公開されているラットゲノム部分塩基配列とマウスおよびヒトTRPM2遺伝子情報を元にして,ラットTRPM2遺伝子をクローニングした。このTRPM2をXenopus卵母細胞や培養動物細胞に発現させると,H_2O_2適用によって細胞内へのCa^<2+>流入と細胞死が観察された。一方,ラット胎仔由来培養大脳皮質ニューロンには内在性TRPM2が多数の神経細胞の細胞体に存在し,siRNAあるいはヘアピンRNA発現ベクターの導入によってTRPM2をノックダウンさせると,H_2O_2誘発Ca^<2+>流入および神経細胞死がともに有意に抑制された。これらの結果から,H_2O_2の細胞毒性には,従来考えられているヒドロキシラジカルの作用のみならず,TRPM2を介するCa^<2+>流入が決定的な役割を果たしていることが明らかになった。
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