2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15590067
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
本間 浩 北里大学, 薬学部, 教授 (50190278)
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Keywords | D-aspartate / aspartate racemase / HPLC / fluorescent derivatization / enantioseparation |
Research Abstract |
哺乳類体内の神経内分泌器官や内分泌器官には、高濃度のD型アスパラギン酸(D-Asp)が存在している。D-Aspは、ホルモンの合成・分泌に関与することが徐々に明らかになっている。D-Aspが哺乳類体内で合成されるかどうかは最近まで明らかではなかったが、我々は、哺乳類由来の培養細胞株を用いてD-Aspが生合成されることを証明した。しかし、その合成酵素の実体は不明のままであり、詳しい解析が期待されている。細菌、古細菌や下等動物では、D-AspはL-AspからAspラセマーゼによって合成されると考えられている。哺乳類でも、D-AspはAspラセマーゼによって作られると考えられるが、活性が微弱なために活性測定の試みは上手くいっていなかった。我々がこれまで活性測定に用いてきたHPLC法は、アミノ酸を蛍光誘導体に変換して検出するため比較的感度の良い方法であるが、試料の調製時に損失が避けられないという欠点を持っていた。今回我々は、その点を改良し、さらに新規な蛍光誘導体化試薬を創製して、Aspラセマーゼ活性の高感度自動化分析装置を開発した。 新規な蛍光誘導体化試薬として、N-(tert-butylthiocarbamoyl)-L-cysteine ethyl ester(BTCCと命名)を創製した。D-Aspは、この試薬およびo-phthalaldehyde(OPA)と室温で瞬時に反応して蛍光誘導体を生成する。この蛍光誘導体を逆相HPLCにより分離し、蛍光検出するシステムを構築した。その際、試薬は室温で瞬時に反応することから、蛍光誘導体化操作は試薬を混合するだけで行うことができ、自動化が可能であった。また、HPLCにおける再現性や確実性を向上させるためにisocratic溶出法で分析できるように、BTCCの化学的性質が工夫されている。 Aspラセマーゼ反応によって生成したD-Aspを試料として、必要な試薬を自動で混合してHPLCに注入する高感度自動化分析システムを構築した。我々は古細菌Thermoplasma acidophilumの菌体中にAspラセマーゼ活性を発見しているが、この活性は非常に微弱である。開発したシステムを用いて、このAspラセマーゼの活性測定を行ったところ、十分な感度をもって検出することができた。したがって本法は、Aspラセマーゼの活性測定法として高感度な方法であり、かつ簡便な方法として多数の試料の測定に適した方法と考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nimura, N. et al.: "A novel chiral thiol reagent for automated precolumn derivatization and high-performance liquid chromatographic enantioseparation of amino acids and its application to the aspartate racemase assay"Anal.Biochem.. 315. 262-269 (2003)
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[Publications] Nimura, N. et al.: "Boundary between protein and peptide shown by their chromatographic behavior"Anal.Sci.. 19. 1281-1284 (2003)