2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスに対する赤血球PAF-アセチルヒドロラーゼの防御的役割
Project/Area Number |
15590069
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
唐沢 健 帝京大学, 薬学部, 助教授 (50186029)
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Keywords | 血小板活性化因子(PAF) / PAF-アセチルヒドロラーゼ / 赤血球 / 酸化ストレス / 酸化脂質 |
Research Abstract |
炎症・アレルギーの原因物質である血小板活性化因子(PAF)の分解酵素:PAF-アセチルヒドロラーゼ(PAF-AH)には、これまで3種のサブタイプが同定されており、血液などの体液に存在する血漿型と細胞内に存在する細胞内I型およびII型が知られている。ヒト血液におけるPAF-AH活性の分布を比較してみると、血漿に70%、赤血球に30%の酵素活性が検出でき、好中球、血小板などの白血球に分布するPAF-AH活性の割合は非常に低い。このように全血液における赤血球PAF-AH活性が占める割合が高いにもかかわらず、この酵素のサブタイプおよび生理的役割については不明のままであった。今回、大量に酵素源が入手できるブタ赤血球から、この酵素の精製を実施した結果、ブタ赤血球には細胞内I型PAF-AHの触媒サブユニットであるα_1およびα_2からなるα_1/α_2ヘテロダイマーおよびα_2/α_2ホモダイマーの2種のサブタイプが存在することが明らかとなった。α_1サブユニットは胎児期の脳に強く発現することが知られており、成体では精祖細胞を除くと非常に低いことから、α_1サブユニットは赤血球の機能調節に重要な役割を果たしていることが予想される。また、これらのサブユニットに対するモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロッティング解析を行うことによりヒト赤血球においてもブタ赤血球と同様にα_1/α_2ヘテロダイマーおよびα_2/α_2ホモダイマーの2種のサブタイプが検出された。赤血球はPAFを合成することができず、また、PAF受容体がないためPAF-AHの生理的基質はPAF以外の脂質と考えられる。そこで、リコンビナントPAF-AHを赤血球脂質に作用させ、得られた脂質成分を質量分析法により解析した。その結果、リコンビナントPAF-AHはCu^<2+>により酸化刺激を与えた場合に生じる酸化リン脂質を基質として分解することが明らかとなった。
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