2003 Fiscal Year Annual Research Report
ジヒドロピリジン化合物の新展開:T型CaおよびClチャネル阻害の有用性
Project/Area Number |
15590071
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 光 東邦大学, 薬学部, 助教授 (40236617)
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Keywords | T型カルシウムチャネル / クロライドチャネル / 心臓 / ジヒドロピリジン化合物 / 徐脈 / 虚血再灌流傷 |
Research Abstract |
まず多くのジヒドロピリジン化合物のイオンチャネルに対する作用を単離心筋細胞およびパッチクランプ法を用いて検討し、T型カルシウムチャネルやクロライドチャネルに特異的に作用するものの探索を行った。T型カルシウムチャネルに関してはジヒドロピリジン環の5位の置換基に注目し、ホスホン酸残基を持つエホニジピンと、嵩高い置換基を持つシルニジピンが、抑制作用を有することが判明した。これらの薬物はいずれもウサギ洞房結節活動電位波形の緩徐脱分極相を選択的に延長することがわかった。この延長はニッケルの存在下では観測されなかったため、T型カルシウムチャネル阻害によるものである。クロライドチャネルに関しては1位の置換基を大きくしたPAK200やP糖タンパク阻害剤として知られていたAHC-52に抑制作用が認められた。これらの化合物に関して次にL型カルシウムチャネル、カリウムチャネル、ナトリウムチャネルに対する作用の有無をパッチクランプ法およびガラス微小電極法により検討したところ作用がみとめられないか、きわめて弱いものであった。すなわち、これらの薬物・化合物はT型カルシウムチャネルあるいはクロライドチャネルに対して特異性の高いものであった。また、摘出心筋組織標本の収縮力、活動電位波形など、心筋の基本的な機能に対しては作用がみとめられないか、きわめて弱いものであった。また、蛍光プローブを用いた単離心筋細胞のカルシウムトランジェントに対する作用の検討でも同様の結果であった。以上の結果から、T型カルシウムチャネルあるいはクロライドチャネルに対して特異性の高い薬物・化合物が見出され、それらは心臓循環系に対して悪影響は及ぼさないことが明らかになった。次年度以降にこれらの薬物・化合物による心筋保護効果について詳細に検討する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nishimaru K., Tanaka Y., Tanaka H., Shigenobu K.: "Pharmacological evidence for involvement of phospholipase D, protein kinase C and sodium-calcium exchange in α-adrenoceptor-mediated negative inotropy in adult mouse ventricle"J.Pharmacol.Sci.. 92. 196-202 (2003)
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[Publications] Nishimaru K., Tanaka Y., Tanaka H., Shigenobu K: "Inhibition of agonist-induced positive inotropy by a selective Rho-asociated kinase inhibitor, Y-27632"J.Pharmacol.Sci.. 92. 424-427 (2003)
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[Publications] Tanaka Y., Okamoto T, Imai T, Horinouchi T, Tanaka H., Shigenobu K., Koike K.: "Phospholipase C inhibitors suppress spontaneous mechanical activity of guinea pig urinary bladder smooth muscle"Biol.Pharmaceut.Bull.. 26. 1192-1194 (2003)
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[Publications] Masumiya H., Yamamoto H., Hemberger M., Tanaka H., Shigenobu K., Chen SRW., Furukawa T.: "The mouse sino-atrial node expersses both the type 2 and type 3 Ca release channels/ryanodine receptors"FEBS Lett.. 553. 141-144 (2003)
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[Publications] Masumiya H., Saito M., Ito M., Matsuda T., Noguchi K., Iida-Tanaka N., Tanaka H., Shigenobu K.: "Lack of action potential-prolonging effect of terfenadine on rabbit myocardial preparations"Biol.Pharmaceut.Bull.. 27. 131-135 (2004)