2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経特異的ムチン型糖鎖付加反応機構と神経変性疾患との関連
Project/Area Number |
15590077
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
黒坂 光 京都産業大学, 工学部, 教授 (90186536)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺地 徹 京都産業大学, 工学部, 教授 (90202192)
|
Keywords | ムチン型糖鎖 / 神経変性疾患 / 糖転移酵素 / α-シヌクレイン / 構造活性相関 / GalNAc転移酵素 |
Research Abstract |
神経変性疾患の発症基盤として,タンパク質のミスフォールディング→凝集→異常蓄積といった一連の共通現象が見受けられる.また,パーキンソン業の原因分子としての可能性が指摘されているα-シヌクレインの凝集にはムチン型糖鎖の付加が関与していると報告されている.そこで,ムチン型糖鎖生合成の開始反応を触媒するN-アセチルガラクトサミン転移酵素(以後GalNAc-Tと略する)によるα-シヌクレインへの糖付加活性を測定した.GalNAc-Tは大きな遺伝子ファミリーを形成しているが,神経系に特異的に発現するアイソザイムを中心に活性を測定した.実験に用いた4種類のアイソザイムのうち,1種類のアイソザイムのみが特異的にα-シヌクレインにN-アセチルガラクトサミンを転移することを見いだした.このことより,α-シヌクレインへのムチン型糖鎖の付加がα-シヌクレインの凝集の引き金になっている可能性が考えられた. また,神経系でのムチン型糖鎖の付加機構を解明する目的で,GalNAc-Tアイソザイムの1つを対象にして構造活性相関を解析した.GalNAc-T分子の保存されたモチーフ構造に変異を導入したときに,酵素活性に見られる影響を調べた結果,酵素中のGal/GalNAc-Tモチーフ中に存在するトリプトファン残基がアクセプター基質との結合に重要な役割を果たしていることを明らかにした.このアミノ酸残基は,必ずしもすべてのアイソザイムに保存されているわけではなかったため,この部位はGalNAc-Tファミリー全般に共通した働きに関与するのではなく,それぞれのアイソザイムに特有の基質特異性を与えるものであると考えられた.
|
Research Products
(1 results)