2003 Fiscal Year Annual Research Report
好中球機能分化における不等分裂の役割とG-CSFによる制御
Project/Area Number |
15590091
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
山口 照英 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子細胞医薬部, 部長 (50111117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 龍二 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子細胞医薬部, 主任研究官 (20370942)
内田 恵理子 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子細胞医薬部, 室長 (80176685)
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Keywords | 好中球分化 / 不等分裂 / aPKC / PKCι / HL-60細胞 / p70S6K / G-CSF |
Research Abstract |
DMSOやレチノイン酸によって誘導されるHL-60細胞の好中球分化における不等分裂の役割について解析した。 HL-60細胞の好中球分化誘導によってTrf-R陽性細胞(増殖型)や陰性細胞(分化型)が出現することをすでに明らかにしているが、この両細胞での発現タンパク質の差異を高分解能2次元電気泳動と質量分析を用いて解析したところ、Ca結合タンパク質であるMRP8がTrf-R陰性細胞に強く発現していることを見いだした。MRP8はMRP14とヘテロダイマーを形成していることが知られているが、このMRP14もTrf-R陰性細胞で強く発現していることが明らかになった。MRP14/MRP8は分化誘導に伴って発現誘導が惹起される分子として知られており、不等分裂に伴ってこれらの分子が不等分配されるとすれば分化誘導に重要な機能を担っていることが想定され、現在MRP8/MRP14をノックダウンしたときの分化能や不等分裂の変化について解析を続けている。 次に、細胞の極性に関わる因子として最近注目を集めているatypical protein kinase C (aPKC)を取り上げ、好中球分化やその増殖における役割について解析したヒトaPKCとしてはPXCζとPKCιが知られているが、HL-60細胞はPKCιのみを発現していることを明らかにした。さらに、PKCιはTrf-R陽性細胞に強く発現しており、分化誘導を開始したHL-60細胞にG-CSFを添加すると、PKCιは核から細胞膜、さらに細胞質に移行するとともに、p70S6Kと会合することを見いだした。p70S6Kは、我々が増殖に重要な役割を果たしており、また好中球分化に関して負の制御を行っていること示唆した分子である。 以上の結果より、HL-60細胞の好中球分化に伴って出現してくるTrf-R陽性細胞や陰性細胞には、分化や増殖に関与する分子が不等分配されていることが明らかになり、これらの分子の不等分配が両細胞の増殖型あるいは分化型を規定している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kanayasu-Toyoda, T, Yamaguchi, T, Oshizawa, T, Uchida, E, Hayakawa, T: "The role of c-Myc on granulocyte colony-stimulating factor-dependent neutrophilic proliferation and differentiation of HL-60 cells."Biochem.Pharmacol.. 66. 133-140 (2003)
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[Publications] Kanayasu-Toyoda, T, Yamaguchi, T, Oshizawa, T, Hayakawa, T: "CD31 (PECAM-1)-bright cells derived from AC133-positive cells in human peripheral blood as endothelial-precursor cells."J.Cell.Physiol.. 195. 119-129 (2003)
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[Publications] Oshizawa, T., Yamaguchi, T., Suzuki, K., Yamamoto, Y., Hayakawa, T: "Possible Involvement of Optimally Phosphorylated L-plastin in Activation of Superoxide Generating NADPH Oxidase."J.Biochem.. 134. 827-834 (2003)