2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト特異的細胞溶解毒素インターメディリシンの結晶構造と機能の解析
Project/Area Number |
15590098
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大倉 一人 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (00242850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 均 徳島大学, 工学部, 教授 (90119008)
津下 英明 徳島文理大学, 健康科学研究所, 教授 (40299342)
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Keywords | 感染症 / 細胞溶解毒素 |
Research Abstract |
モデリングしたインターメディリシン(ILY)の分子構造を基にして、ヒト細胞膜と相互作用すると考えられる11mer領域をアミノ酸置換したミュータントILYを作成して、ILYの種特異性を担う部位の解析を行った。wild ILYと比べてmILY(C)では殆どヒト赤血球溶血作用の変動はみられなかった、mILY(EC),mILY(ECW),mILY(EDW),mILY(W),mILY(E)では溶血活性の減弱が確認され、さらにmILY(EW),mILY(CW)では顕著な活性低下が起こった。NEM処理したmILY(CW)ではさらに低下した。このmILY(CW)ではウマ赤血球に対してNEM処理mILY(CW)と同程度の溶血作用を示したが、ヒツジ、ウサギ赤血球に対してはさらに活性の低下がみられた。NEM処理mILY(CW)ではウサギに対して全く活性を示さなかった。mILY(ECW)ではNEM処理の有無に関係なく、ウマ、ウサギ、ヒツジに対するより強い溶血活性を示した。NEM処理mILY(ECW)はウサギに対して全く活性を示さなかった。 wild SLOは種に関係なく同程度の溶血作用を示した。mSLO(GAP)ではwSLOと比較して活性の低下はみられたが、ウサギ、ウマ、ヒトに対する溶血活性は同程度であり、ヒツジ赤血球に対する作用のみ低かった。 コレステロールのヒト赤血球溶血活性に及ぼす影響をみると、mILY(CW),mILY(ECW)ではコレステロールによって顕著に溶血が阻害された。mILY(EW),mILY(C),mILY(EC),mILY(E)では先の2種のミュータントと比べてコレステロールによる阻害作用は低かった。mILY(EDW)ではさらにコレステロールによる阻害作用は軽微であり、mILY(W)では全く阻害されなかった。mSLO(GAP)ではwSLOと同様にコレステロールによるヒト赤血球溶血阻害がみとめられた。NEMによってmILY(CW),mILY(ECW)はコレステロールによる阻害作用が低下した。 以上のことから、確かにこれらcytolysinの11mer領域はコレステロールとの相互作用に必須の領域であり、従来型のcholesterol dependent cytolysin(CDC)のモチーフ配列をILYに導入することによって、コレステロールに対する感受性を持たせることができたと考えられる。現在、ドメイン1-3とドメイン4の間で、wILYとwSLOのキメラ体による解析を行っている。これによって詳細なILYの種特異的細胞膜認識機構の解明に繋がると思われる。
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Research Products
(3 results)