2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規病原性関連遺伝子産物SEp22がサルモネラの環境における生残性に及ぼす影響
Project/Area Number |
15590117
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
天野 富美夫 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (90142132)
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Keywords | サルモネラ / 病原性 / 病原性遺伝子 / 生残性 / 環境 |
Research Abstract |
本年度はまず、養鶏場の周辺環境から分離したSEp22を発現するSEの病原性菌株Cl.#15-1を親株にして、sep22遺伝子の転写開始点直後にカナマイシン耐性遺伝子と終止コドンを挿入したsep22遺伝子欠損株を4株、作成した。これらの変異株(KO-2,3,4,5)と親株の、過酸化水素耐性を調べた結果、変異株はいずれも感受性を示し、環境から分離されたSEp22発現しない非病原性菌株Cl.#16-1等と同様の性質を示した。また、マウスに対する経口感染実験においても、これらの欠損変異株は病原性を示さなかった。 つぎに、SEp22と水系におけるサルモネラの生残性の関係を調べるため、対数増殖期中期のそれぞれの菌株を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を(1/2)^n段階希釈して一晩放置して浸透圧ショックをかけ、生菌数をLB寒天培地上のコロニー数を計測して求めた。その結果、SEp22欠損変異株はいずれも、親株に比べて有意に低浸透圧に抵抗性を示した。この結果は、SEp22それ自体か、あるいはその影響下にある因子によって、サルモネラの浸透圧感受性が左右されることを示唆する。SEp22の大腸菌ホモログであるDpsに関してもこのような報告は無く、本研究の結果はSEp22(Dps)の新たな機能の解明につながるものと期待される。 また、SEp22の過酸化水素以外の活性酸素に対する抵抗性について、これらの親株と変異株を用いて検討した。その結果、親株、変異株とも、LB培地中での増殖は、一酸化窒素ラジカル、ペルオキシナイトライトには同様の抵抗性を示し、次亜塩素酸に対しては同様の感受性を示した。以上の結果から、われわれが見い出した新たなサルモネラの病原性関連遺伝子産物SEp22は、活性酸素分子種のうちで過酸化水素に選択的な抵抗性を示すこと、ならびに、環境中における水系での浸透圧に関しては逆に、感受性を示すことが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamasaki, M.: "Effects of anaerobic preculture on aerobic stress responses of Campylobacter jejuni."Biosci.Microflora. 22. 21-25 (2003)
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[Publications] Karahashi, H.: "Endotoxin-tolerance to the cytotoxicity toward a macrophage-like cell line, J774.1, induced by lipopolysaccharide and cycloheximide : Role of p38 MAPK in induction of the cytotoxicity."Biol.Pharm.Bull.. 26. 1249-1259 (2003)
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[Publications] Sugita-Konishi, Y.: "Effects of carrageenans on the binding, phagocytotic and killing abilities of macrophages to Salmonella"Biosci.Biotech.Biochem.. 67. 1425-1428 (2003)