2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内レドックス状態が及ぼす免疫機能への影響と酸化的ストレス影響評価系への応用
Project/Area Number |
15590118
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Research Institution | SETSUNAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上野 仁 摂南大学, 薬学部, 助教授 (20176621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 智史 摂南大学, 薬学部, 助手 (30288972)
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Keywords | 活性酸素 / レドックス / 免疫攪乱 / アポトーシス / ROI / carboxy-DCFH-DA / 過酸化水素 / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
免疫担当細胞における細胞内レドックス状態と細胞応答機能との関連性を解明するとともに、環境化学物質などの外因性酸化的ストレスによる免疫攪乱影響評価系を確立する目的で、ヒトT細胞系白血病Jurkat細胞とヒト前骨髄球白血病HL-60細胞を用いて検討したところ、昨年度は後者において緩和なH_2O_2曝露によってcarboxy-DCFH-DAフローサイトメトリー法でアポトーシス誘導と関連した活性酸素種(ROI)の産生が認められた。そこで、今年度はHL-60細胞を用い、細胞内ROI産生とアポトーシス誘導との関連性について詳細に検討した。 高濃度H_2O_2曝露によって細胞内ROI産生とともに細胞生存率が低下した。そこで、細胞生存率が低下してもROI産生が認められない低濃度H_2O_2曝露域において、ROI以外の細胞内レドックス状態指標の可能性として細胞内GSH量、Trx量およびcGPx活性を測定したところ、いずれも細胞生存率の低下との関連性は認められなかった。そのため、細胞内レドックス状態とそれによる細胞応答に関しては、本法で検出された細胞内ROI産生とアポトーシス誘導との関連性のみが示唆された。一方、アポトーシスが誘導されたH_2O_2曝露濃度域において、TNF-αの産生が確認された。また、TNF-αを曝露することによっても細胞内ROI産生が認められた。このことから、TNF-α産生およびアポトーシス誘導と相関した細胞内ROIの産生が、本法によって検出されていることが判明した。以上、本研究においてヒト前骨髄球白血病HL-60細胞を用い、carboxy-DCFH-DAを用いたフローサイトメトリーによって検出される細胞内ROI産生が、免疫担当細胞のシグナル伝達やサイトカイン産生などの細胞応答と関連した細胞内レドックス状態を知るうえで有効な指標となり得ることが考えられた。
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