2003 Fiscal Year Annual Research Report
重層培養細胞系によるヒト口腔粘膜細胞層の薬物透過機構の解析
Project/Area Number |
15590131
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 聰城郎 岡山大学, 薬学部, 教授 (10025710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 賢一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (30291470)
檜垣 和孝 岡山大学, 薬学部, 助教授 (60284080)
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Keywords | 口腔粘膜 / 薬物透過性評価系 / HaCaT細胞 / 重層細胞 / 最適培養条件 / D-glucose輸送系 |
Research Abstract |
本研究では、口腔粘膜における薬物透過機構の詳細を解析するため、ヒトケラチノサイト由来細胞(HaCaT)を用いて、評価に適した重層細胞の培養条件を確立し、D-glucose輸送系について種々の基礎的検討を行った。 HaCaT細胞の培養条件に関しては、細胞増殖能の面からはDMEM EGF(+)、もしくは、DMEM+Supplement EGF(+)を用いた培養が適していることが示唆された。組織学的な面からは、充分な重層が形成されており、細胞間が密に詰まっているシートを形成していたDMEM EGF(+)を用いた培養が適していると示唆された。膜抵抗値の面からは、定常状態に達する時期が早く、その後安定して、比較的高い膜抵抗値を呈するDMEM : Ham's F-12 EGF(+)を用いての培養が適していることが示唆された。一方、3T3細胞を用いた培養法は、期待したほどのメリットが得られなかった。細胞活性、重層化、膜抵抗値、D-glucoseの輸送能の検討より総合的に評価すると、HaCaT細胞系はDMEM EGF(+)を用いて3〜4週間培養したものを用いるのが最適であると示唆された。 次に以上の条件で培養したHaCaT細胞を用いてglucoseの輸送能について検討を行った結果、D-glucoseとL-glucoseの重層細胞層の透過に差は認められなかったが、細胞内への取り込みはL-glucoseに比べD-glucoseが有意に大きく、HaCaT細胞にD-glucose輸送に関与する輸送担体の存在が示唆された。
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