2003 Fiscal Year Annual Research Report
関節疾患に対するハイドロダイナミクス法を用いた遺伝子治療についての検討
Project/Area Number |
15590135
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
三上 靖夫 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (80360030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 重洋 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (10184748)
松田 修 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (00271164)
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20178031)
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Keywords | ハイドロダイナミクス / 遺伝子治療 / EBVベクター / 関節リウマチ / 非ウイルス性遺伝子導入 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高圧を利用してプラスミドDNAを導入するハイドロダイナミクス法が関節疾患の治療法として有効であるかどうかを検討することである。 マーカー遺伝子として、ルシフェラーゼ遺伝子(GL3)を用いて、EBNA1遺伝子およびEBV oriPを有するEBVプラスミドベクター(pGEG.GL3)と、対照としてEBV由来の構造を持たない通常のプラスミドベクター(pG.GL3)を作成した。それぞれのプラスミドDNA(10μg)を生理食塩水に溶解し、DBA-1マウスの尾静脈から加圧下に投与した。導入後経時的にマウスの全身諸臓器(心、肺、肝、腎、脾、関節軟骨、滑膜)を採取し、ルシフェラーゼアッセイを行い、遺伝子の発現効率および局在について検討した。 肝臓においては著名なルシフェラーゼ発現を認め、pGEG.GL3導入群ではpG.GL3導入群に比し、導入8時間後の発現量が約1.7倍高値を示した。また、pGEG.GL3導入群はその最大値が24時間にまで持続したが、pG.GL3導入群では急速に低下し、その結果導入後24時間では発現量の差は約7.2倍に拡大した。また、心、肺、腎および脾においても、肝臓には及ばないものの遺伝子発現を認め、同様なpGEGの優位性が認められた。しかし、関節内構造物の関節軟骨、滑膜における遺伝子発現は低値であった。 経静脈的なハイドロダイナミクス法は、肝をはじめ心、肺、腎および脾の臓器への遺伝子導入に有効であること、EBVベクターはそのいずれの細胞でもin vivoで機能し導入効率と発現時間の延長を増強しうることが示された。しかし、このような全身性の導入では、血液循環から隔絶された関節組織にはおいては、有効性は示されなかった。今後、全身性の導入条件の改良および関節局所への導入について検討し、RA関節炎モデルに対する治療実験により、その臨床応用の可能性を検証していく。
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